MEMORIA メモリア

映画『MEMORIA メモリア』の概要

『MEMORIA メモリア』は、2021年に公開されたタイ、コロンビア、フランス、ドイツ、メキシコ、そして中国が共同で製作したドラマ映画です。アピチャッポン・ウィーラセタクンが監督を務め、ティルダ・スウィントンが主演を飾っています。この映画は、コロンビアの地方都市でのお話を基に、登場人物たちの心の奥底に潜む謎や記憶の断片を描写しています。

物語のあらすじ

物語の中心にいるのは、蘭の栽培を営む女性、ジェシカです。彼女は、呼吸器疾患で入院している妹カレンを訪れるため、ボゴタに滞在しています。ある晩、ジェシカは大きな破裂音で目を覚まし、その音について周囲の人々と共有しますが、誰もがその音を聞いているわけではありません。妹のカレンは、入院中に犬の話をしたと言いますが、ジェシカには記憶がありません。不安感が募る中、ジェシカは音を再現できる音響技師エルナンに出会い、彼と共に音の正体の解明に向かいます。

しかし、エルナンの存在は次第に不透明になり、彼女はその音を追い求める日々を過ごします。さらに、女医のアニエスと共に古代の遺跡を見学することで、ジェシカの心には過去の音が影響を及ぼします。彼女は再び村を訪れ、現地の男性エルナンと出会い、さらなる謎を解明しようとします。

森の中での探索の末に、ジェシカは奇妙な音の正体を掴むことになります。それは、異星の宇宙船が加速する際に生じる衝撃波であり、彼女の視界に浮かび上がる様子は、人間の存在と過去、未来が絡まり合った様を象徴しています。

制作とキャスト

本作は、2018年から制作が開始され、ウィーラセタクンがコロンビア各地を探訪し、精神病院や刑務所を訪れるなどして、作品に必要な要素を探り続けました。そして、時間をかけて選び抜かれたキャストには、ジャンヌ・バリバールやフアン・パブロ・ウレゴなどが名を連ね、物語の深みを増しています。特に、ティルダ・スウィントンの演技は多くの評価を受け、彼女の表現力が映画の神秘性を際立たせています。

評価と反響

本作は、2021年のカンヌ国際映画祭で評価され、審査員賞を受賞しました。批評家たちの間での評価は非常に高く、Rotten Tomatoesでは92%の支持を得ており、Metacriticでも高得点を記録しています。特に、音響の扱いや映像美が称賛され、観客に深い印象を残しました。

結論

『MEMORIA メモリア』は、視覚的かつ聴覚的な体験を通じて人間の記憶の持つ力や、存在することへの問いかけを行う作品です。神秘的な要素に満ちたこの映画は、観る者に新たな視点を提示し続け、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の芸術的な才能が存分に発揮されています。これはただの映画ではなく、心の奥底に響くような体験を提供してくれる作品です。

もう一度検索