METAL FINISH

METAL FINISH

『METAL FINISH』（メタル・フィニッシュ）は、宮崎まさる原作、鶴岡伸寿が作画を手がけた日本の漫画作品。

概要

本作は、『週刊少年ジャンプ』（集英社）にて1990年41号から1991年1・2合併号にかけて連載されました。全14話で構成されています。

物語は、東京都に所在する高校のアイスホッケー部を舞台にしたスポーツ[[漫画]]です。しかし、試合の描写は学内での練習試合が1試合のみで、出場選手も両チーム共にほぼスターティングメンバーに限られています。競技中にヘルメットやフェイスマスクが省略される描写も特徴的です。人物の画風は劇画調で描かれています。

あらすじ

主人公は、かつて天才アイスホッケー選手として名を馳せた兄を交通事故で亡くした風間和泉。彼は兄の遺志を継ぎ、東京の名門・星城大一高へ転入します。しかし、アイスホッケー部は暴力事件が原因で1年間の出場停止処分を受け、荒廃した状態にありました。情熱を胸に秘めた和泉は、不良化した上級生たちの反感を買ってしまいます。

和泉は、リンチにも近い入部テストに耐え抜き、その強い意志はキャプテンの時任の心を動かします。時任は、新入生全員にアイスホッケーの実力を測る入部テストを受けさせることを決定。和泉を含む6名が合格します。1ヶ月後には上級生との練習試合が決定しますが、新入生チームにはウイングのポジションが不在でした。和泉がウイングを担当することになりますが、それでも1人足りません。そこで和泉は、中学時代に天才ウイングと呼ばれていたクラスメイトの世良を勧誘することを決意します。

上級生との死闘を繰り広げた末、名門・星城大一高アイスホッケー部は見事に復活を遂げるのでした。

登場人物

星城大一高アイスホッケー部

東京でトップクラスの実力を誇るアイスホッケーの名門校。専用のアイスリンクを所有しています。かつては「死神（ジョーカー）」の異名で恐れられていました。実力主義を徹底することで、長きにわたり名門としての地位を維持してきました。

新入生

風間 和泉（かざま いずみ）

本作の主人公。北海道苫小牧出身。身長168センチメートル。かつてはアイスホッケーに打ち込んでいましたが、中学時代にはスピードスケートに転向。しかし、兄の死をきっかけに、再びアイスホッケーに本気で取り組むため、星城大一高校を選びました。チーム事情からウイングを担当することになります。スケーティングのトップスピードは目を見張るものがありますが、普段のシュートスピードはパス程度に遅いという弱点も抱えています。兄が残した練習日記を参考にトレーニングを重ねており、並外れた体力とガッツを身につけています。
世良 康平（せら こうへい）

和泉と同じクラス。秀一とは中学時代のチームメイトで、ウイングを務めていました。中学時代には得点王に輝いたこともあります。高いキープ力を誇りますが、アシスト0という不名誉な記録も持っており、パスを嫌うフォワードとして知られています。その無鉄砲で直感的なプレースタイルから、「マーベリック（一匹狼）」と呼ばれていました。気まぐれな性格で、人の誘いには সহজেには乗りません。才能に任せた単独プレーをするようになったのは、かつてのパートナーだったヒロの失明が原因です。中学時代の背番号は90番。
原 秀一（はら しゅういち）

ポジションはセンターフォワード。中学時代はチームのエース（自称）で、「クレバー」と呼ばれていました。眼鏡をかけています。
国松 太郎（くにまつ たろう）

坊主頭で太い眉毛が特徴。ポジションはディフェンス。体格は恵まれていますが、小心な一面も持ち合わせています。子供の頃はいじめられっ子でしたが、プロレスに熱中するようになり、その後、激しいぶつかり合いが魅力のアイスホッケーに惹かれていきました。東日本の方言が出ることがあります。

上級生

過去に試合中の暴力事件を起こし、1年間の出場停止処分を受けています。有力な部員の多くが転校や退部をしてしまい、部全体のやる気も低下。部室では喫煙や賭博に明け暮れる日々を送っています。

時任 源（ときとう げん）

アシストの学生記録を持つ、東京ナンバーワンのセンターフォワード。鋭いドリブルから「カミソリ時任」の異名を持ちます。短髪で老けて見える顔立ちで、鼻から顎にかけて無精ひげを生やしています。伝説のウイング・風間駿に憧れていました。出場停止後も、主将という立場からチームに残留しています。背番号は10番。
外園 鷹士（ほかぞの たかし）

かつて学生無失点記録を更新したゴールキーパー。卓越した動体視力を持ち、「ブラック・ホーク」の異名で呼ばれています。相手の些細な癖からシュートコースを予測し、試合後半になるほど失点が減るという特徴があります。色黒の肌に長髪という風貌をしています。背番号は1番。
谷 公次（たに こうじ）

和泉が誤って折ってしまった傘の先が後頭部に当たり、因縁をつけますが、真澄の機転によって和泉に逃げられてしまいます。オールバック気味の髪型で、右の前髪を垂らしています。身長190センチメートル。背番号は9番で、ポジションはディフェンス。大熊とのコンビによるボディチェック（体当たり）の激しさは、東京でも評判でした。過去には父親や教師からクズ呼ばわりされていましたが、アイスホッケーにだけは熱中し、がむしゃらに練習に打ち込んでいました。リンクの上では不良であることも関係ないと思っていましたが、ある日の試合で審判の死角を突いた反則を何度も受けたため、相手選手を殴ってしまいます。反則を受けた後、その相手から髪を染めていたことを挑発され、時任に静止されるも、他のメンバーにも飛び火して乱闘となり、1年間の出場停止処分を受けることとなりました。
大熊（おおくま）

スキンヘッドで、前歯が数本欠けています。身長190センチメートル。背番号は13番で、ポジションはディフェンス。

その他の人物

風間 駿（かざま しゅん）

和泉の6歳上の兄。数々の学生記録を塗り替えたウイングで、「天才」と称されるほどの選手でしたが、交通事故による怪我が原因で亡くなりました。得意としていたバックハンドシュートは、独特の風切り音を発するため「疾風（はやて）」と恐れられていました。
奥居 真澄（おくい ますみ）

和泉が初登校時にバスで出会ったクラスメイトの女子生徒。金髪で、右顎にほくろがあります。医者の娘で、多少の切り傷であれば応急処置をすることができます。
ヒロ（ひろ）

世良が中学時代にフォワードコンビを組んでいたパートナー。内気な転校生でしたが、世良と出会いアイスホッケーを始め、世良の才能に追いつくために努力を重ねました。しかし、ある試合で敵のボディチェックを受けた際にスティックが右目を直撃し、失明してしまいます。後にそれを悲観して自殺未遂を起こし、世良と決別しました。中学時代の背番号は80番。

用語解説

新歓試合（ブリザード）

入部から1ヶ月後に行われる新入生と上級生による新入生歓迎試合。この試合で活躍した新入生は、即レギュラーに抜擢されます。毎年、新入生の半数が退部し、病院送りになる者も少なくありません。
Cトラップ（シートラップ）

クラッシャーズトラップ（壊し屋の罠）。谷と大熊の2人がかりで行う、コーナー付近でのボディチェック。真の目的は、肉体的ダメージよりも精神的ダメージを与え、集中力を奪うことです。3つのCで表され、それぞれコーナー（CORNER）、クラッシュ（CRASH）、集中力（CONCENTRATION）を意味します。
チキン狩り

試合が接戦になった時に使う奥の手。敵チームの中から、弱い性格の選手を見つけて集中的に狙う戦法です。

書誌情報

ジャンプ・コミックス（集英社）より全2巻。
第2巻には、描き下ろし特別読切漫画「PUMP」（1990年12月27日製作）が収録されています（100ページ）。
第1巻の巻末には、作画担当の鶴岡からのメッセージが1ページ掲載されています。
第2巻は、「METAL FINISH」の最終ページの後にあとがき1ページ、巻末には岸大武郎から鶴岡へのメッセージが2ページ掲載されています。

1991年2月15日発行 ISBN 978-4-08-871314-4
1991年5月15日発行 ISBN 978-4-08-871315-1

関連項目

アイスホッケー
スポーツ[[漫画]]

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