MHI-MEISTeR

MHI-MEISTeR (マイスター) とは

MHI-MEISTeR（Maintenance Equipment Integrated System of Telecontrol Robot）は、三菱重工業が2001年に開発した原子力災害対応用の無人地上車両型ロボットです。2011年の福島第一原子力発電所事故において、その対応に用いられました。本稿では、MHI-MEISTeRとその改良版であるMHI-MEISTeR IIについて解説します。

概要

MHI-MEISTeRは、重量440kg、移動速度は2km/hで、4輪のクローラで移動します。有線・無線両方の遠隔操作に対応しています。

その開発の背景には、1999年9月に発生した東海村JCO臨界事故があります。この事故を受け、日本原子力研究開発機構と三菱重工業が共同で開発したロボット「Rabot」の姉妹機である遠隔目視点検用ロボットMARSシリーズの「MARS-D」を改良して製造されました。ロボット内部の放射性物質による汚染防止対策や遠隔操縦性が強化されています。

従来の災害対応ロボットは、カメラなどを用いた点検・監視が主な役割でしたが、MHI-MEISTeRは除染作業やコンクリートのサンプリング作業を行うことが可能です。搭載された2本のロボットアームには、専用に開発されたドリルやハンド（挟み爪）などを装着でき、遠隔操作でサンプルを採取できます。

福島第一原子力発電所事故への投入

2011年3月に発生した東日本大震災と、それに伴う福島第一原子力発電所事故。その対応として、MHI-MEISTeRは重要な役割を担いました。2012年12月には、経済産業省の平成24年度補助事業として開発が公式に発表され、後に福島第二原子力発電所で遠隔操作性が検証されました。事故発生から約3年が経過した2014年1月末から、福島第一原子力発電所1号機と3号機に投入され、除染作業の実証試験とコンクリートコアサンプリング作業が実施されました。これは、世界初の完全遠隔操作によるコンクリートコアサンプリング成功となりました。

MHI-MEISTeR II

MHI-MEISTeRを改良した二号機「MHI-MEISTeR II」が2015年に開発され、福島第一原発2号機に投入されました。開発の一部は、資源エネルギー庁からの委託事業として国際廃炉研究開発機構（IRID）から受託し、その組合員である三菱重工業が実施した補助金事業によって行われました。

MHI-MEISTeRとその改良型であるMHI-MEISTeR IIは、原子力災害におけるロボット技術の可能性を示すとともに、安全な廃炉作業への貢献が期待されています。

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