MICS

MICS（全国キャッシュサービス）とは

MICS（Multi Integrated Cash Service、全国キャッシュサービス）は、民間金融機関が連携して構築したCD/ATMネットワークです。異なる業態の金融機関が、中継センターを介して相互に接続されています。1990年2月、当時の都市銀行13行（BANCS利用）と全国地方銀行協会加盟行64行（ACS利用）が接続したのが始まりで、その後、接続範囲は業態別に拡大していきました。

誕生の背景

MICS設立の背景には、郵政省（当時）が構築した郵便貯金オンラインシステムがあります。1984年3月、全国の郵便局に設置されたCD・ATMから現金を引き出せるようになり、これに対抗するため、民間金融機関はまず業態内でのオンライン提携を整備しました。

1980年3月には、都市銀行の中下位行6行がSICS（6都銀キャッシュサービス）、翌月には上位行7行がTOCS（7都銀オンラインキャッシュサービス）を稼働させ、都銀は2つの系統に分かれてオンライン提携を開始しました。また、地方銀行も1980年10月13日からACS（全国カードサービス）を稼働させ、1981年11月までに相互銀行協会加盟全71行がオンライン提携を開始するなど、業態内でのオンライン提携は順調に進みました。

郵貯オンライン網の開始を前に、都銀の2系統間で統合の機運が高まり、1984年1月4日にはBANCS（都銀キャッシュサービス）として統合されました。業態内オンライン提携が実現すると、都銀は地銀に対し、郵貯ネットワークに対抗できるような業態間のネットワーク構築を提案し、その結果、ACSとBANCSの提携が決定しました。

1989年11月1日にはCDネットワーク中継管理機構が設立され、翌1990年2月5日、地銀と都銀間のオンライン提携であるMICSが稼動を開始しました。この提携を機に、MICSを介した業態間のオンライン提携が進み、金融機関のオンライン提携における一大合同が実現しました。

MICSの事務局運営は東京銀行協会（現：全国銀行協会）が受託しており、2004年1月4日からは、NTTデータの提供する「統合ATMスイッチングサービス」を利用しています。

サービス内容

MICSは、以下の9業態のCD・ATMネットワークを接続しています。

都市銀行
地方銀行
信託銀行
長期信用銀行（新生銀行、あおぞら銀行）
商工組合中央金庫
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
労働金庫
系統農協・信連（農林中央金庫、信用農業協同組合連合会、農業協同組合（JAバンク）、県域漁業協同組合・信漁連（JFマリンバンク））

ただし、これらの全ての業態が相互接続しているわけではない点に注意が必要です。また、金融機関によっては、法人キャッシュカードに利用制限（残高照会不可など）が付されている場合があります。

MICS接続ネットワーク（2016年11月現在）

◎：接続（現金出金・残高照会・キャッシュカードによる振込が利用可）
△：接続（現金入出金・残高照会・キャッシュカードによる振込が利用可。ただし、カード振込は、発行元と同じ都道府県内のATMに限る）
○：接続（現金出金・残高照会が利用可）
×：非接続（利用不可）

MICSは、日本の金融機関におけるキャッシュサービスネットワークの基盤として、長年にわたり重要な役割を果たしてきました。利用の際は、各金融機関のサービス内容や利用条件を確認することが大切です。

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