MINAMATA-ミナマタ-

映画『MINAMATA－ミナマタ－』の概要

『MINAMATA－ミナマタ－』（原題: Minamata）は、2020年に公開されたアメリカのドラマ映画で、実際の出来事に基づいています。この作品は、W・ユージン・スミスとその妻、アイリーン・美緒子・スミスの共著による1975年の写真集『MINAMATA』を原作としています。映画はアンドリュー・レヴィタスの監督のもと、デヴィッド・ケスラーが脚本を手がけました。物語は1970年代に熊本県水俣市で発生した水俣病をテーマにしており、写真家であり製作も兼務するジョニー・デップが主役のユージン・スミスを演じます。

ストーリー内容

物語は1971年、アメリカの著名な写真家W・ユージン・スミスが、自らの過去の栄光から遠ざかり、酒に溺れる日々を送りながら始まります。そんな彼の元に、日本人翻訳者アイリーンからの提案が舞い込みます。水俣市を訪れ、現地の人々が水銀中毒によって苦しむ様子を記録することが求められます。

スミスは次第に水俣病の背後にある真実を追及する決意を固めます。この病気は、化学会社チッソの企業活動によって引き起こされた産業公害が原因でした。彼はミノルタのカメラを手に、強大な企業とその共犯者に立ち向かうための準備を進めます。現地の人々の信頼を得る過程で、彼はコミュニティの困難と痛みを知り、それを世界に伝えるための写真を撮影する使命感に駆られます。

撮影を進める中でスミスは、報道に対する企業の厳しい反発に直面しますが、彼の努力はフォトジャーナリズムの代名詞となる姿勢に繋がります。また、彼の活動が地域における問題の可視化に寄与することで、水俣市の状況が世界に知られることとなります。

キャストと制作背景

映画には、ジョニー・デップの他にも、日本の俳優たちが多数出演しています。例えば、真田広之がヤマザキ・ミツオ役を演じ、美波がアイリーンを役どころで演じます。その他にも、加瀬亮、浅野忠信、國村隼といった実力派俳優が集まり、ストーリーに命を吹き込みました。

この映画の制作は2018年10月に始まりました。撮影は日本の他、セルビア、モンテネグロでも行われ、国際的な視点を持ちながら制作が進められました。

公開と反響

『MINAMATA－ミナマタ－』は2020年2月21日にベルリン国際映画祭で正式に世界初上映され、その際ジョニー・デップは映画のメディア力を利用して、実際の出来事に対する関心を高めることが重要であると述べました。その後、アメリカの映画配給権はMGMが取得し、最初は2021年の公開予定でしたが、複数回の延期を経て2021年12月に劇場公開されることが決まりました。

地元の反応と問題点

映画の舞台となった水俣市の高岡市長は、作品が地域の歴史と出来事を正確に伝えることの重要性を強調しました。しかし、同市は2021年に市民が上映会を企画した際に、映画の内容への不安からその後援を拒否する一方で、熊本県は上映会の意義を認め後援を決定しました。市い向き合う姿勢と鑑賞者の多様な意見が交錯する複雑な状況が展開されています。

スミスの家族の反応

ユージン・スミスの元妻であるアイリーン・美緒子・スミスは、映画についての感想を述べ、患者たちの苦しみや戦いが広く知られることを喜んでいる一方で、キャラクターの描写には複雑な思いを抱いていると語っています。彼女はデップが演じるスミスを見て、動きや表情が本物に似ていると感じた一幕もあったそうです。

作品の評価

評価については、Rotten Tomatoesでは78件中61件が高評価で、批評家たちは「誠意は感じられるが、混乱している点もある」と評しています。また、Metacriticでは、16件の評論から平均55点が与えられています。アカデミックな視点からの評価や実際の登場人物たちの反応が、映画の意義を深める一因となっています。水俣病という悲劇を背景に、真実に迫る力強いメッセージが込められたこの作品は、多くの人々に語り継がれることでしょう。

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