Mind Game

中山美穂7thアルバム『Mind Game』：進化と追悼の旋律

1988年7月11日、中山美穂の7枚目のオリジナルアルバム『Mind Game』がキングレコードよりリリースされました。LP、カセットテープ、CDの3形態で発売され、それぞれの規格品番はK28A 860、K28H 1170、K32X 270です。

このアルバムは、それまでの中山美穂の音楽性とは異なる、よりアーティスティックな方向性を示した作品として注目を集めました。キャッチコピーは通常盤が「夏だからダンサブル!! 心のままに…」、GOLD CD盤が「心のままに…DANCE WITH ME」と、アルバムの雰囲気を表しています。

当時13枚目のシングルとして発売された「人魚姫 mermaid|人魚姫_mermaid」は本作には収録されていませんが、カップリング曲である「In The Morning」が収録されています。ただし、シングルバージョンとアルバムバージョンではアウトロ部分が微妙に異なるというこだわりが見られます。

音楽制作面では、シンガーソングライターのCindyを起用し、久保田利伸の制作チームからの楽曲提供を受けるなど、新たな才能とのコラボレーションが特徴です。この大胆な試みは、中山美穂の音楽的幅を広げることに大きく貢献しました。

アルバムには、中山美穂自身が作詞作曲を手掛けた「Long Distance To The Heaven」も収録されています。この曲は、同年のコンサートツアー「MIHO Catch '88」では「Long Distance 天国へ」というタイトルで披露され、ライブビデオ『CATCH ME MIHO NAKAYAMA LIVE '88』にも収録されています。しかし、アルバム収録にあたりタイトルとアレンジが変更され、このアルバムで初めてレコード化されました。

この楽曲は、中山美穂自身の体験に基づいた、深く感動的な内容となっています。デビュー前から共に歌手を目指していた親友であるアイドル、遠藤康子が自ら命を絶ってしまったという事実を歌った、彼女にとって非常に重要な作品です。

アルバムジャケットは、ロバート・ブルーによるカバーペインティングが使用されています。注目すべきは、同日発売のシングル「人魚姫 mermaid|人魚姫_mermaid」と同じイラストを使用している点です。ビキニ姿の中山美穂が描かれたイラストは、当時各歌番組でも取り上げられるなど大きな話題となりました。

収録曲は、羽田一郎、杉山卓夫、KITAROといった当時の著名な作曲家、編曲家、そしてCindy、久保田利伸といったアーティストが参加したバラエティ豊かな楽曲群です。作詞陣も芹沢類、川村真澄、北山瑞穂と多彩な顔ぶれで、アルバム全体に多様な音楽的色彩を与えています。

『Mind Game』は、1989年12月25日にはGOLD CDとして完全限定盤が、1992年11月21日には廉価盤CDが、そして2015年10月14日にも廉価盤CDがリリースされるなど、長年にわたって再発売が繰り返され、現在も多くのファンに愛されている作品です。2015年の再発売は、リマスタリング仕様で「30th Anniversary Original Album Collection」の一環として行われました。

『Mind Game』は、音楽的な冒険と、個人的な深い感情が交錯する、中山美穂のアーティストとしての成長を象徴する重要なアルバムと言えるでしょう。

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