Mobio

mobio NXシリーズ：NECの小型ノートPC

NECが1997年から1998年にかけて販売したmobio NXシリーズは、PC98-NXシリーズに属する小型ノートパソコンです。同時期に人気を博した東芝のLibrettoに対抗馬として登場しました。Librettoよりも薄型軽量な設計が最大の特徴で、筐体にはマグネシウム合金を採用。液晶は初期モデルがSTN液晶、後期モデルがTFT液晶と、モデルによって異なります。

ハードウェア仕様と特徴

mobio NXは、PC98-NXシリーズの他の機種とは異なり、フル32ビット機能やUSBは搭載されていませんでした。代わりに、16ビットPCカードスロットと赤外線通信ポートを備えています。内部的にはPCIチップセットとPCI-IDEインターフェースを持つ32ビットマシンですが、標準的なWindows 95はサポートされていませんでした。OSは主にWindows 95を搭載し、一部モデルではWindows 98に対応しています。

サイズはほぼA5サイズで、奥行きはA5よりわずかに短いものの、バッテリーの分だけLibrettoより大きくなっています。しかし、A5に近い形状はカバンへの収納性に優れていました。

入力デバイスは、キーボードの手前に配置されたNXポイントと呼ばれるポインティングスティックと、その手前にあるクリックボタンです。初期モデルではこのクリックボタンの破損が問題となるケースがありました。

拡張性は、標準ではPCカードスロット(TYPE II) 1基、赤外線通信ポート、ヘッドホン端子のみです。USB端子やフロッピーディスクドライブは別売りのポートバー経由で接続する必要があり、シリアルポートによるデータ転送も考慮してシリアルクロスケーブルが付属していました。

モデルバリエーション

mobio NXシリーズには、大きく分けてMB12C系とMB20Cの2種類があります。

MB12C系

MB12C/UD: 120MHzのモバイルPentium MMXを搭載。STN液晶モデルとTFT液晶モデルがあります。メモリは最大80MBまで拡張可能。
MB12C/UV: MB12C/UDとほぼ同一スペックですが、液晶がTFT液晶のみとなります。標準搭載メモリは32MBです。

MB20C

* MB20C: 200MHzのモバイルPentium MMXを搭載。TFT液晶モデルのみで、メモリは最大96MBまで拡張可能です。Windows 95とWindows 98の両方に対応しています。

これらのモデルは、プリインストールソフトの違いにより、いくつかのサブモデルが存在します。共通してES1869サウンドシステムを搭載しており、Officeソフトが付属しないモデルでも、乗り換え案内ソフトなどのユーティリティがバンドルされています。メモリはEDOタイプのSO-DIMMに対応しています。

周辺機器

mobio NXには、専用のACアダプタ、バッテリーパック（標準と大容量）、外付けフロッピーディスクドライブ、シンクロアダプタ、キャリングカバーなどの周辺機器が用意されていました。特にシンクロアダプタは、赤外線通信ポートを利用した高速データ同期を可能にするものでした。

中古市場での人気

Librettoほど知名度は高くありませんが、mobio NXシリーズは中古市場において同スペックのノートPCよりも高値で取引される人気機種となっています。その高い人気は、コンパクトで軽量なボディ、そして独自の個性的なデザインと機能性のバランスが評価されているためと考えられます。しかし、経年劣化による液晶トラブル(STN液晶モデル)など、中古購入時の注意点も存在します。

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