MODEL2

セガMODEL2：リアルタイム3DCGの進化形アーケード基板

1993年、セガはアーケードゲーム市場に革新をもたらすシステム基板MODEL2を発表しました。前身であるMODEL1を継承しつつも、完全な新規設計によって大幅な性能向上を実現したMODEL2は、リアルタイム3DCG技術の黎明期において、その高い描画能力と表現力で多くの開発者を魅了しました。

MODEL1からの進化と技術的特徴

MODEL2は、セガと米国のマーティン・マリエッタによる共同開発という点でMODEL1と共通点を持つものの、内部構造は全く異なります。メインCPUにはインテルのi960、描画プロセッサには富士通のMB86234を採用。音源制御にはMC68000を使用し、28チャンネルのPCM音源を搭載することで、より豊かなサウンドを実現しました。

MODEL1で実装されていたフラットシェーディングに加え、MODEL2ではテクスチャマッピング機能が追加されました。しかし、当時の技術的制約から、1枚のテクスチャに使用できる色は1色のみ、階調も16段階に限定されていました。そのため、色の境界でポリゴンを分割する必要があり、複雑なテクスチャ表現には限界がありました。半透明テクスチャも扱えず、メッシュによる表現で代替する必要がありました。

これらの制約にもかかわらず、開発者たちは高度な技術と創意工夫を凝らすことで、MODEL1では不可能だったリアルな質感表現を実現しました。高精細なモデルをテクスチャに落とし込むことで、キャラクターモデルあたりのポリゴン数を減らしつつ、高い表現力を実現したのです。

描画能力はMODEL1と比較してほぼ倍増し、約30万ポリゴン/秒という驚異的な性能を誇りました。この性能向上は、1秒あたりの描画フレーム数を増やすことに活用され、MODEL1よりも格段に滑らかなリアルタイムCG表現を可能にしました。代表的なタイトルである『デイトナUSA』では、60fpsで描画しながら最大40台のストックカーを同時に走行させるという、当時としては驚異的な描写を実現しています。

多様なバージョンと互換性

MODEL2は、MODEL2、2A、2B、2Cの4つのバージョンが存在します。しかし、これらのバージョン間には互換性がありません。一部のタイトルは2Aと2Bの両方にリリースされましたが、セキュリティICの互換性の無さから、ROMキットは各バージョン専用となっています。

初代MODEL2では、MODEL1と同様にサウンド機能が別基板になっており、MODEL1のサウンドボードを流用していました。しかし、2A以降はサウンド機能が基板に統合されました。2A、2B、2Cの違いは、主に設計の効率化と周辺DSPの高速化によるものです。

主要スペックと対応タイトル

MODEL2は『デイトナUSA』、『バーチャファイター2』、『バーチャコップ』など、数々の名作アーケードゲームを支えました。これらのゲームは、MODEL2の高い描画能力と表現力を最大限に活かした、当時のゲーム業界を代表するタイトルです。

修理サポート終了

部品調達難のため、2017年3月31日を以ってMODEL2の修理サポートは終了しました。これらの名作ゲームをプレイするには、稼働状態を維持するための工夫が必要となっています。

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