MPEG-21

MPEG-21（エムペグトゥウェンティーワン、ISO/IEC 21000）は、21世紀におけるマルチメディアコンテンツの流通を円滑に行うことを目指した規格です。この規格は、単に動画や音声の圧縮技術を定義するものではなく、コンテンツの権利保護、利用、管理といった広範な側面をカバーしています。MPEG-21の「21」という数字は、21世紀においてこれらの要素が非常に重要になるとの認識に基づいています。

MPEG-21の概要

MPEG-21は、デジタルコンテンツの作成、配布、消費といったライフサイクル全体をサポートするためのフレームワークを提供します。このフレームワークは、コンテンツの所有権、利用条件、課金メカニズムなど、コンテンツ取引に関わる様々な側面を包括的に扱います。そのため、MPEG-21は、単なる技術規格ではなく、デジタルコンテンツビジネスのインフラストラクチャとしての側面も持ち合わせています。

MPEG-21の重要な要素の一つに、デジタルアイテムの記述方法を定める「デジタルアイテム宣言（DID）」があります。DIDは、コンテンツの内容、権利情報、メタデータなどをXML形式で記述します。これにより、コンテンツの検索、管理、利用が容易になります。また、MPEG-21は、デジタル著作権管理（DRM）にも対応しており、コンテンツの不正利用を防ぐためのメカニズムを提供しています。

MPEG規格群における位置づけ

MPEG（Moving Picture Experts Group）は、動画や音声の圧縮技術を定義する規格を策定することで知られています。MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4などがその代表的な例です。これらの規格は、動画や音声データを効率的に圧縮し、保存や伝送を容易にすることを目的としています。

一方、MPEG-7は、動画や音声コンテンツの内容を記述するための規格であり、MPEG-21と同様に圧縮技術そのものを定義するものではありません。MPEG-7は、コンテンツの内容、特徴、メタデータなどをXML形式で記述します。これにより、コンテンツの検索、フィルタリング、分類などが可能になります。

MPEG-21は、これらの規格とは異なり、コンテンツの権利保護や管理といったより上位の概念を扱います。MPEG-21は、コンテンツのライフサイクル全体を管理するためのフレームワークを提供し、コンテンツの取引、利用、保護を円滑に行うことを目指しています。

MPEG規格の主な種類

以下は、主なMPEG規格の種類です。

動画/音声/システム
MPEG-1
MPEG-2
MPEG-4
MPEG-3はMPEG-2に吸収する形でキャンセルされました。
メディア
MPEG-7
MPEG-21

まとめ

MPEG-21は、21世紀のデジタルコンテンツ流通において、コンテンツの権利保護、管理、利用を円滑に行うための重要な規格です。動画圧縮規格ではなく、コンテンツのライフサイクル全体をサポートするフレームワークを提供し、デジタルコンテンツビジネスのインフラストラクチャとしての役割を担っています。MPEG-21は、コンテンツの価値を最大限に引き出し、デジタルコンテンツ市場の発展に貢献することを目指しています。

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