MPEG-1

MPEG-1（Moving Picture Experts Group-1）は、国際標準化機構（ISO）と国際電気標準会議（IEC）の合同技術委員会（JTC 1）によって策定された、動画と音声のデジタルデータ圧縮に関する国際標準規格の一つです。正式名称は「Coding of moving pictures and associated audio for digital storage media at up to about 1.5 Mbit/s」であり、主に約1.5Mbit/s以下のデータレートで動画と音声を記録するために設計されました。

この規格は、1時間程度の動画をCDに記録することを目標に、日本のNTTとアスキーによってISOに提案されました。ビデオCDなどで広く利用され、MPEG動画と言うと、このMPEG-1で圧縮されたものを指すことも多くありました。MPEG-1は、動画（ビデオ）と音声（オーディオ）の両方を扱えるシステムとして規格化されています。プログレッシブ信号に対応していますが、インタレース信号には対応していません。

技術詳細

ビデオ（動画像符号化）
MPEG-1のビデオ圧縮技術は、H.261で開発された動画像圧縮技術を基盤としており、フレーム間予測と離散コサイン変換（DCT）を組み合わせています。最大解像度は4095x4095（12ビット）、最大ビットレートは100Mbit/sをサポートします。MPEG-1の大きな特徴の一つは、動き補償の精度を従来の一画素単位（フルペル）から、半画素単位（ハーフペル）に拡張した点です。ハーフペル動き補償は、演算量が増加するものの、より正確な動きの予測を可能にし、圧縮率を大幅に向上させることができます。このハーフペル動き補償は、後のMPEG-2やMPEG-4などの規格にも採用されています。

MPEG-1は、ビデオCDのほか、DVD-VideoやDVD-VR規格でも低解像度用として採用されています（ただし、DVDで実際にMPEG-1が使用されることは稀です）。2000年代初頭までは、ゲームやインターネットで配信される動画の圧縮形式として一般的でしたが、その後、MPEG-4（DivX、Xvid、3ivx）、H.264、WMVなどのより高性能な圧縮技術に取って代わられました。2009年現在では、携帯電話や携帯型プレーヤー、デジタルフォトフレームなどでMPEG-1に対応している製品は少数です。

オーディオ
MPEG-1オーディオは、Layer 1、Layer 2、Layer 3の3つのレイヤーから構成されています。それぞれMP1、MP2、MP3として知られています。Layer 2対応機器はLayer 1の再生が可能で、Layer 3対応機器はLayer 1、Layer 2、Layer 3全てを再生できる上位互換性を持っています。ビデオCDでは、主にLayer 2が使用されています。MP3は、MPEG-1 Layer 3 の略で、広く普及したオーディオ圧縮形式の1つです。

脚注

関連項目

JPEG
MPEG-2
MPEG-4
MPEG-7
MPEG-21
データ圧縮
* 符号化方式

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