MPEG-H

MPEG-Hは、ISO/IEC Moving Picture Experts Group（MPEG）によって開発された一連の標準規格であり、正式には「ISO/IEC 23008 - 混成環境における高効率な符号化とメディア伝達」という名称で知られています。この規格群は、デジタルコンテナ、動画圧縮、音声圧縮、そして2つの順応試験標準を含み、多様なメディア環境での効率的な利用を目的としています。

MPEG-Hの構成要素

MPEG-Hは、以下の複数のPartから構成されています。

MPEG-H Part 1: MPEG Media Transport (MMT)
MMTは、異なるネットワーク環境に適応可能なメディアストリーミングフォーマットです。これにより、様々なネットワーク条件下で高品質なメディア配信が実現されます。
MPEG-H Part 2: High Efficiency Video Coding (HEVC)
HEVCは、ITU-T VCEGとの共同開発によって生まれた動画圧縮規格です。従来のH.264と比較して、データ圧縮率を約2倍に向上させ、最大で8192x4320の解像度に対応しています。これにより、高精細な映像を効率的に伝送・保存することが可能になります。
MPEG-H Part 3: 3D Audio
3Dオーディオは、複数のラウドスピーカーに対応した3D音声のための音声圧縮標準です。立体的な音響体験を提供し、没入感を高めることを目指しています。
MPEG-H Part 5: HEVC 適合試験とリファレンスソフトウェア
HEVCの適合性を評価するための試験と、参照となるソフトウェアが含まれています。
MPEG-H Part 8: HEVC 適合試験
HEVCの適合性を評価するための試験です。

関連技術

MPEG-Hに関連する技術として、以下のものが挙げられます。

スーパーハイビジョン（UHDTV）:
3840×2160と7680×4320の解像度を持つデジタルビデオフォーマットであり、MPEG-HのHEVCが用いられることがあります。
360 Reality Audio:
ソニーが開発したオブジェクトベースの空間オーディオ技術であり、MPEG-H 3Dオーディオをベースにしています。この技術により、全方位からの音を感じられる臨場感あふれるオーディオ体験が可能です。

まとめ

MPEG-Hは、様々なメディア環境での効率的な符号化と伝送を目的とした包括的な規格群です。動画、音声、ストリーミングなど、様々な側面において高品質なメディア体験を提供するための基盤となっています。HEVCによる高効率な動画圧縮や、3Dオーディオによる立体的な音響体験など、最新の技術が活用されています。

参考資料

* MPEG website: MPEG website

もう一度検索