Moving Picture Experts Group

MPEG（Moving Picture Experts Group）の概要

MPEGは、Moving Picture Experts Groupの略称で、日本語では「動画専門家集団」と訳されます。1988年に設立されたISO/IEC（国際標準化機構と国際電気標準会議）のワーキンググループであり、デジタル映像や音声に関する圧縮技術の国際標準規格を開発しています。世界中の様々な企業、大学、研究機関から約350名（2005年時点）の専門家が参加する大規模な組織です。

MPEGが開発した標準規格は、私たちの日常生活に深く関わっています。例えば、MP3という音楽ファイル形式や、MP4という動画ファイル形式は、MPEGが開発した標準規格です。これらの規格は、デジタルメディアの普及に大きく貢献しました。

MPEGは、ITU-T（国際電気通信連合電気通信標準化部門）と協力して規格を策定することもあります。例えば、MPEG-2システムはH.222.0、MPEG-2ビデオはH.262、MPEG-4 Part 10 AVCはH.264と同一の内容となっています。

主なMPEG規格

MPEGは、数多くのビデオおよびオーディオ圧縮フォーマットと関連規格を標準化してきました。これらの規格は、人間の視覚特性を考慮した高度な圧縮技術を用いて、データサイズを削減しながら、高画質・高音質を維持することを目指しています。主なMPEG規格を以下に示します。

MPEG-1: 最初のビデオ・オーディオ圧縮規格であり、後にビデオCDの規格として採用されました。有名なMP3（Layer 3）オーディオ圧縮フォーマットもMPEG-1の一部です。
MPEG-2: デジタルテレビ放送（ATSC、DVB、ISDBなど）、デジタル衛星放送、デジタルケーブルテレビ、そしてDVDビデオディスクで使用されているビデオ・オーディオ規格です。HDTV（高精細度テレビジョン）にも対応できる性能を持っていましたが、MPEG-3として独立した規格が作られることはありませんでした。
MPEG-3: 元々はHDTV向けの規格として開発されましたが、MPEG-2がHDTVにも十分対応できることが判明したため、独立した規格としては採用されませんでした。
MPEG-4: MPEG-1を拡張した規格で、3D映像、低ビットレート符号化、デジタル著作権管理などをサポートします。MPEG-2よりも効率的なビデオ符号化技術を採用し、プロファイルの簡素化により、ビデオコーディングの効率化を実現しました。
MPEG-7: マルチメディアコンテンツの記述のためのメタデータ記述方式です。映像や音声データの内容を記述するための標準的なフォーマットを提供します。
MPEG-21: マルチメディアフレームワークとして位置付けられています。デジタルコンテンツの利用や管理に関する様々な技術を統合する枠組みを提供します。

MPEGと関連技術

MPEGは、デジタルメディア技術の発展に大きな影響を与えてきました。その影響は、MP3やMP4といったファイル形式だけでなく、デジタルテレビ放送やDVDといった様々なメディアにも及んでいます。MPEGの標準規格は、デジタルメディアの普及と発展を支える重要な基盤となっています。

MPEGの規格は、多くの企業や研究機関によって実装され、利用されています。また、MPEG LAという団体が、MPEG関連技術の特許権管理を行っており、技術の普及と保護に貢献しています。

まとめ

MPEGは、デジタル映像・音声技術の進化に不可欠な役割を果たしてきた国際的な標準化団体です。その活動によって生まれた様々な規格は、現代のデジタルメディア環境を形作る上で非常に重要な存在であり、今後もその影響は大きくなると考えられます。 今後もMPEGは、新たな技術トレンドに対応した規格開発を継続し、デジタルメディアの更なる発展に貢献していくでしょう。

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