MTSAT

MTSAT（エムティーサット）について

MTSAT（運輸多目的衛星）は、日本において気象観測と航空管制を目的に開発された大型の静止衛星です。国土交通省航空局及び気象庁が協力して推進し、宇宙開発事業団（NASDA）及び宇宙[[航空研究開発機構]]（JAXA）が衛星の打上げを行いました。今回は、MTSATの構成や運用について詳しく見ていきます。

MTSATの構造

MTSATは主に2つの衛星から成り立っています。まず、「運輸多目的衛星1号（MTSAT-1）」ですが、これは老朽化したひまわり5号の後継に位置づけられ、気象データの収集のみならず、航空保安システムにも寄与します。この衛星は1999年に打ち上げられましたが、ロケットのエンジン故障により打上げは失敗し、その結果本機は海に沈んでしまいました。

その後、代替として「運輸多目的衛星新1号（MTSAT-1R）」が開発され、2005年に成功裏に打ち上げられました。こちらは新しい姿勢制御システムや観測機器を備え、さらなる性能の向上を図っています。 MTSAT-1Rは、気象観測のほかに航空管制業務も担う重要な役割を果たしてきました。

続いて「運輸多目的衛星新2号（MTSAT-2）」は、2006年に打上げられ、MTSAT-1Rと共に航空管制業務を支える体制となりました。この実績は、特に航空向けのサービスにおいて重要な意味を持ちました。

気象ミッションと運用

MTSATの気象ミッションでは、可視光線や赤外線を用いたイメージャーによる地球観測が行われています。観測は最大で24回/日実施され、特に北半球では20回、南半球では4回の観測が行われ、風速の解析などに重要な役割を果たしています。そして、得られた画像データは、気象機関に配信され、日々の気象予測や分析に貢献しています。

また、MTSATを通じて、離島や航空機からの観測データ中継サービスも行われており、これによりより広範な気象データを集めることが可能となっています。これらの機能は、気象情報の精度や迅速性を高め、その結果として国民生活の安全に寄与していると言えます。

航空ミッション

航空ミッションでは、地上局と航空機との間の通信を中継する役割を担っています。これにより、航空機の向きや位置情報をリアルタイムで把握することが可能になります。また、GPSの測位精度を向上させるためのSBAS（衛星を利用した測位精度補強システム）も提供し、航空機の安全運航を支えています。

後継機の開発と将来

MTSATの後継機は、ひまわり8号、9号が計画され、これまでの気象観測を拡充しつつ、国土交通省航空局は計画から外れ、気象庁が単独で運用を行うことになりました。また、航空管制業務も新たな衛星システムへ移行する流れがあります。

MTSATの多様な機能は、気象観測や航空管制における信頼性の高い情報提供を実現し、国民の安全と安心に寄与しています。今後の進化とともに、さらなる改善が期待されます。

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