Macintosh IIci

Macintosh IIciは、Appleが1989年9月から1993年2月にかけて販売したパーソナルコンピュータです。Macintosh IIcxの後継機種として登場しましたが、IIcxも並行して販売されました。当時のMacintoshラインナップの中では、Macintosh IIfxが登場するまで最速の処理速度を誇っていました。

位置付け

IIciは、高性能なグラフィック処理能力を求めるユーザーと、ディスプレイの自由度を重視するユーザーの双方に応えることができる機種として位置づけられました。高価な拡張ボードに頼らずとも、内蔵ビデオ機能で一定レベルのグラフィック処理が可能であり、多様なニーズに対応できる柔軟性を持っていました。後継機種であるQuadra 700の発売後も、1993年まで販売が継続されました。また、Quadra 700へのアップグレードサービスも提供され、ユーザーはより高性能な環境へと移行することができました。

ハードウェア

筐体

筐体はIIcxから流用されており、コンパクトなデザインが特徴です。詳しくはMacintosh IIcxの記事を参照してください。
CPU

Motorola MC68030を25MHzで駆動し、コプロセッサとしてMC68882を搭載していました。これにより、高度な数値演算処理を高速に行うことができました。
RAM

IIcxと同様に、30-pin SIMMスロットを採用しています。これにより、メモリの増設が可能となり、より多くのアプリケーションを同時に実行したり、大きなデータを扱うことができました。
ビデオ

セパレート型Macintoshとしては初めて、ロジックボードにビデオ回路が組み込まれました。メインメモリの一部をVRAM用に割り当てることで、グラフィック表示を実現していました。解像度640x480ピクセルで256色表示、640x870ピクセルで16階調グレースケール表示をサポートしていました。

ソフトウェア

ROM

32ビットクリーンROMを採用しており、System 7（漢字Talk 7.1）以降を利用する場合に、8MBを超えるRAMを扱うことができました。このROMには、開発スタッフの隠し写真が収録されており、日付を1989年9月20日に設定し、特定のキー（コマンドキー、optionキー、Cキー、Iキー）を同時に押しながら起動することで表示させることができました。

Macintosh IIciは、その高い性能と拡張性により、当時のビジネスシーンやクリエイティブ分野で広く利用されました。内蔵ビデオ機能や32ビットクリーンROMの採用など、先進的な技術が数多く搭載されており、その後のMacintoshの発展に大きく貢献した一台と言えるでしょう。

外部リンク

Specifications at Everymac.com

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