Macromedia FreeHand

Macromedia FreeHandは、かつてMacromedia（現アドビ）が開発していた2Dベクターイメージ編集ソフトウェアです。その開発の歴史は、複数の企業の買収劇によって翻弄されたものでした。

元々はAltsysによって開発が開始され、アルダスが販売を担当していました。当時、Adobe Illustratorが競合製品として存在していましたが、FreeHandの販売元であったアルダスが、競合製品であるIllustratorを開発するアドビシステムズ（現アドビ）に買収されてしまいます。この買収により、FreeHandはMacromediaの手に渡ることになりました。

その後、Macromedia自身もアドビシステムズに買収されたことで、FreeHandの開発はMXa（バージョン11.01）をもって終了しました。バージョン11.01に限り、製品のアクティベーションが必要となる点も特筆されます（バージョン11.0では不要）。

FreeHandは、Illustratorに先駆けてプレビュー表示での編集機能やレイヤー機能、RGB色指定などをサポートしていました。また、Illustratorが単一ページのみをサポートしていたのに対し、FreeHandは複数ページのサポートという利点がありました。パースペクティブガイドなど、独自のアイデアも取り入れられていました。

しかし、描画時のアンチエイリアス表示のサポートが遅れたり、Illustratorのパスファインダに相当するパスの論理演算機能がエクストラとして実装されていたりと、時代遅れな面も少なくありませんでした。これは、開発元の相次ぐ買収によって開発が停滞したことが大きな要因と考えられます。

最終的には、競合製品を有するアドビシステムズにベンダーが買収されたことで、FreeHandはその歴史に幕を閉じました。かつてはIllustratorと肩を並べる存在でしたが、その後の企業買収の波にのまれ、市場から姿を消すこととなりました。

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