Mark 5 (核爆弾)

Mark 5 核爆弾概要

Mark 5は1950年代初頭にアメリカ合衆国によって開発された核爆弾で、1952年から1963年にかけて配備されました。この爆弾は、当時の技術の進歩を反映し、従来の核爆弾に比べてコンパクトな設計になっています。Mark 5は、特にその弾頭部分がW5核弾頭としても知られ、核兵器の中でも重要な役割を果たしました。

サイズと仕様

初期の核兵器ファットマンは直径60インチでしたが、Mark 5は39インチという小型化が図られており、携行性の向上が図られました。爆縮方式に基づくこの核爆弾は、弾頭の直径が44インチ、長さは129から132インチで、総重量は3,025から3,175ポンドの範囲で様々なバリエーションが存在しました。特にW5核弾頭は2,405から2,650ポンドの重量を持っていました。

この核爆弾は、92分割の爆縮レンズを使用しており、ウランとプルトニウムを核物質として利用しています。核反応は核分裂のみで、攻撃力の異なるサブタイプが存在し、6、16、55、60、100、120キロトンもある核出力が設定されていました。

安全装置

初期のアメリカの核爆弾には、安全装置として弾頭部分の一部を取り外すIn Flight Insertion（IFI）技術が採用されていました。Mark 5もこのしくみを取り入れつつ、手動での操作から自動化を進め、搭乗員が席から安全装置の設定を行うことができるよう改良されました。また、作業用の観音式扉がノーズ部に設けられており、弾頭部にアクセスするための利便性も考慮されています。

歴史的背景と配備

W5核弾頭は、アメリカ空軍のMGM-1 マタドール巡航ミサイルや、アメリカ海軍のレギュラス艦対地ミサイルに装備され、1954年から1963年にかけて運用されました。マタドール向けには65発、レギュラス向けには35発が製造されており、その後Mark 5は合計140発が生産されました。

このように、Mark 5はアメリカの核兵器開発史において重要な位置を占める核爆弾であり、小型化と技術革新の先駆けとしての役割を果たしました。冷戦時代の核戦略においても、さまざまな運用形態や安全対策が模索され、軍事的な意義を持ち続けています。

もう一度検索