Material Exchange Format

MXF（Material eXchange Format）とは

MXF（Material eXchange Format）は、SMPTE（映画テレビ技術者協会）によって規格化された、プロフェッショナル用途のデジタル映像および音声データを扱うためのコンテナフォーマットです。放送局や映像制作の現場で、多種多様な映像・音声データをメタデータとともに効率的に管理・交換することを目的として設計されています。

MXFの概要

MXFは、映像データや音声データを「容器」や「包装紙」のように包み込む役割を果たします。具体的には、様々な形式でコード化された映像・音声データと、それらに関連するメタデータを一つにまとめて格納します。この構造により、タイムコードやその他のメタデータとの完全な連携が可能となり、プロフェッショナルな映像制作におけるワークフローを効率化します。

MXFは、AAF（Advanced Authoring Format）と並行して開発され、ノンリニア編集を容易にすることを目的としています。これにより、映像編集ソフトウェア間でのデータ交換や、高度な編集作業が円滑に行えるようになります。MXFは、プロ用途での標準規格となることを目指し、規格化が進められています。

MXFの使われ方

MXFファイルの拡張子はWindowsでは`.mxf`、Macではファイルタイプコードとして`mxf `（末尾に空白文字を含む）が用いられます。世界中の放送局やプロダクションで標準的に利用されており、特にアメリカではHD放送への移行時に、ファイルベースのMXFファイルから放送電波に変換する方式が広く採用されました。

日本では、VTR/VCRからの送出が主流でしたが、業界標準であったソニーのHDCAMのサポート終了（2022年）に伴い、主要放送局もファイルベースの送出へと移行が進んでいます。MXFは、現代のデジタル放送および映像制作における基盤となるフォーマットと言えるでしょう。

MXFの技術仕様

MXFはSMPTEによって詳細な規格が定められています。以下に主な規格文書を示します。

基本文書
SMPTE 377M: The MXF File Format Specification（MXFファイルフォーマットの全体を記述した基本文書）
SMPTE EG41: MXF Engineering Guide（MXFの利用方法を解説したガイド）
SMPTE EG42: MXF Descriptive Metadata（MXFにおける記述メタデータの利用方法を解説したガイド）

操作方法
SMPTE 390M: OP-Atom（シンプルなMXFファイルのための非常に制約の強いレイアウト）
SMPTE 378M: OP-1a（最小限のシンプルなMXFファイルのためのレイアウトオプション）
SMPTE 391M: OP-1b
SMPTE 392M: OP-2a
SMPTE 393M: OP-2b
SMPTE 407M: OP-3a, OP-3b
SMPTE 408M: OP-1c, OP-2c, OP-3c

これらの操作方法の中で、実際に広く利用されているのはOP-AtomとOP-1aの形式です。

コンテナの仕様
SMPTE 379M: Generic Container（MXFファイル内にエッセンスを格納する方法）
SMPTE 381M: GC-MPEG（MPEGエッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 383M: GC-DV（DVエッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 385M: GC-CP（SDTI-CPエッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 386M: GC-D10（SMPTE D10エッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 387M: GC-D11（SMPTE D11エッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 382M: GC-AESBWF（AES/EBU|AES_EBUおよびBroadcast WaveオーディオエッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 384M: GC-UP（非圧縮ピクチャーエッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 388M: GC-AA（A-law符号化オーディオエッセンスデータをMXFに格納する方法）
SMPTE 389M: Generic Container Reverse Play System Element
SMPTE 394M: System Item Scheme-1 for Generic Container
SMPTE 405M: Elements and Individual Data Items for the GC SI Scheme 1

メタデータ、辞書、レジストリ
SMPTE 380M: DMS1（MXFファイルで使用する記述メタデータの標準セット）
SMPTE 436M: MXF Mappings for VBI Lines and Ancillary Data Packets
SMPTE RP210: SMPTE Metadata Dictionary（SMPTEメタデータ辞書）
SMPTE RP224: Registry of SMPTE Universal Labels


これらの規格は、SMPTEのウェブサイトからCD-ROMとして注文することで入手できます。

関連技術と情報

関連項目
Advanced Authoring Format (AAF)
Broadcast Wave Format (BWF)

外部リンク
mpeg.co.jp MXFラボ
AMWA
MXF Info
IRT
Free MXF
US Library of Congress Digital Preservation Program: MXF Format Description Properties

これらの情報源も参考に、MXFに関する知識を深めることができます。

MXFは、デジタル放送および映像制作の現場で不可欠な技術であり、その理解は、これらの分野で働く人々にとって重要です。

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