ノンリニア編集

ノンリニア編集とは

ノンリニア編集（Non-linear editing）は、映像をコンピュータを使って非直線的に編集する手法です。古典的なリニア編集とは異なり、テープからテープへと素材を移すことなく、自由に編集ポイントを選択できます。これにより映像データの追加や削除、並べ替えが簡単に行えるため、効率的な作業が実現しました。1990年代に登場したこの技術は、パソコンの進化に伴い瞬く間に広まっていきました。

ノンリニア編集システムの歴史

初期のノンリニア編集機は、1971年にアメリカのCBSとメモレックスの合弁によって製造されたCMX600です。この機種はPDP-11を基にしたRAMを搭載し、高度な編集機能を持っていましたが、価格が25万ドルであったため、理解を得ることができず、わずか6台しか作られませんでした。

1990年代に入ると、VTRを利用した編集の遅れを解消するために、ランダムアクセス記録媒体が進化し、HDDやDRAMを使った記録機器が登場します。これにより、数分程度の素材を効率よく扱え、特に多重合成編集が可能になりました。さらに、ノンリニア編集機が全素材をHDDに収録し、必要なシーンのみを抵触することなく効率的に編集する方式が確立されました。

編集プロセスの効率化

ノンリニア編集では、プレイリストを使って再生の順序を設定し、箇所を再生することで編集成果を得ることができます。この方法により、メディア間のコピーを行わずに済むことから、インサート編集ややり直しも簡単に行えます。また、必要な映像をキャプチャし、小さなプレビューとしてGUIに表示することで、多くのシーンへの迅速なアクセスが可能になり、作業効率が大幅に向上しました。

普及と技術革新

初期のノンリニア編集システムは、PCベースかつHDDの容量が限られていたため、主にオフライン編集に使用されていました。しかし、ニュース制作の現場を中心に次第に採用が進み、HDDの大容量化やハードウェアの高速化、圧縮技術の発展により、放送用の画質を保ったまま編集・制作が可能となりました。特に、ニュース編集では、テープからHDDに素材をコピーした後、そのままの形で効率的に送出できるため、急速に普及しています。

代表的なノンリニア編集システムとしては、Macintosh IIを使用したAvidや、Amigaを用いたVideo Toasterがあり、これらは現在でも多くの放送局で活用されています。今では、各種の放送機器メーカーからもっと高品質で大規模なシステムが提供されており、編集から送出まで一括して行えるビデオサーバーとして機能しています。

高度な合成技術と個人利用の拡大

また、イギリスのQuantel社の「ヘンリー」やカナダのdiscreet社の「インフェルノ」など、映像合成を重視した高機能なシステムも開発されています。これらのツールには、CGや画像処理機能も充実しており、プロフェッショナルな制作現場での使用が増加しています。さらに、PCの性能向上やDVD、BDの普及により、個人や小規模な業務でもノンリニア編集が利用されるようになりました。最近では、BDレコーダーやDVDレコーダー、HDDレコーダーで簡単なプレイリスト編集ができるようになり、一般ユーザーにも広がりを見せています。

まとめ

ノンリニア編集は、映像制作のスタイルを根本から変える技術であり、その出現によって編集作業は飛躍的に効率化されました。今後も技術の進展が進む中で、映像制作はさらに進化していくことでしょう。

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