Men's SPIDER

Men's SPIDER：Vホス系ファッションを切り開いた雑誌

2008年、男性向けファッション誌『Men's SPIDER（メンズスパイダー）』が創刊されました。この雑誌は、既存のファッションジャンルにはない新たなスタイル、『Vホス系』を提案したことで注目を集めました。その立役者は、『MEN'S KNUCKLE（メンズナックル）』で成功を収めたプロデューサー、鮎川優氏です。鮎川氏は自らもモデルとして誌面に登場し、雑誌作りに深く関わっていました。

『Men's SPIDER』最大の特徴は、V系（ヴィジュアル系）とホストファッションを融合させた『Vホス系』という独自のスタイルを打ち出した点です。V系の華やかでロックな要素と、ホストの洗練されたファッション性を組み合わせることで、従来のギャル男や兄系ファッションとは一線を画す、新しい男性像を提示しました。ただし、V系バンドマンとホストを同一視しているわけではなく、それぞれの要素の共存と調和を重視した点が重要です。

雑誌は当初、『ES POSHH!』の増刊としてスタートし、その後は『コミック乱ツインズ』シリーズの増刊として発行されました。誌面には、リョーマ、工藤蓮、一条誠、優士、そしてプロデューサーである鮎川優氏をはじめ、百合華、IBI（Sixh.デザイナー）、橋本甜歌、星七といった個性豊かなモデルたちが登場し、独自のファッションスタイルを提案しました。彼らを総称して「スパモ」と呼び、雑誌の顔として活躍していました。

『Men's SPIDER』は、雑誌独自の造語も生み出しました。「艶男（ツヤダン）」は、ファッショナブルでスタイリッシュな魅力を持つ男性を表す言葉で、女性誌『NIKITA』に登場する「艶男（アデオス）」とは、漢字こそ同じですが、読み方と意味合いが異なります。また、コーディネートを意味する「コーディー」といった略語も誌面で頻繁に使用されました。

『Men's SPIDER』は、単なるファッション誌にとどまらず、独自のファッションカルチャーを構築しようとする意欲的な試みでした。V系とホストという異なる世界観を巧みに融合させ、新たなファッション潮流を生み出した点において、その功績は大きいと言えるでしょう。しかし、2015年7月刊行の9月号をもって休刊。惜しまれつつも幕を閉じました。

関連性の高い雑誌としては、『Men's egg』、『MEN'S KNUCKLE』、『MEN'S ROSES』、『men's Digger』などがあります。これらの雑誌と比較することで、『Men's SPIDER』がどのような位置づけにあったのか、その独自性をより深く理解することができるでしょう。また、109-2などの商業施設や、お兄系、デリッカーといったファッションジャンルとの関連も考察することで、当時の若者ファッションシーン全体を理解する上で、重要な資料となるでしょう。

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