MiG-25 (航空機)

MiG-25（フォックスバット）

MiG-25（ロシア語: МиГ-25）は、ソビエト連邦のミグ設計局が開発した航空機で、迎撃戦闘機や偵察機、さらには敵防空網制圧用途の機体が含まれています。その特徴的な外見からNATOでは「フォックスバット」というコードネームが付与されました。

開発背景

1950年代、ソ連はアメリカのB-58、XB-70、SR-71といった高性能超音速機の脅威に直面しており、これに対抗するための新たな迎撃戦闘機の開発が急務とされました。ミグ設計局は、これまでの迎撃機設計の経験を活かし、MiG-25の開発に取り組みました。これには、I-3U、I-7U、I-75、Ye-150などの試作機が含まれ、超音速迎撃能力に関する試験が行われました。

特徴と設計

MiG-25は1961年に初めて姿を現し、主翼配置や機体後部の双垂直尾翼など、特異なデザインが目を引きます。両エンジンはR-15-300ターボジェットで、大きな推力を持つ一方で燃費は悪く、機体の約70%を燃料タンクが占めるという特異な構造を持っています。また、高速飛行時に耐えうるよう、ニッケル鋼を主体にした構造で設計されています。これは、機体が高熱に晒されるための工夫であり、急激な温度変化にも耐える能力を重視した結果です。

MiG-25は、まず迎撃機型のYe-155Pや偵察機型のYe-155R、さらには巡航ミサイル母機型のYe-155Nが開発されています。最初の量産型は1970年に配備が開始され、以降多くのバリエーションが生まれました。

冷戦期の役割

冷戦中、MiG-25は西側諸国にとって大きな脅威と見なされました。特に、1967年にはモスクワの航空ショーにおいてその姿が公開され、西側の専門家たちはその性能に衝撃を受けました。この頃、アメリカ合衆国はMiG-25の能力を過大評価し、その結果としてF-15の開発がスタートしました。1980年代に入ると、MiG-25の急降下による亡命事件が発生し、その性能が詳細に解析されることとなります。

MiG-25の実際の性能

実際はMiG-25は、設計上の目的と異なり迎撃に特化した機体であり、機動性は高くありませんでした。例えば、運用制限荷重が5Gであるなど、他の戦闘機と比べると機動性が劣ることが判明しました。これにより、一部の国では対空任務にのみ使用され、長射程ミサイルを用いて目標を攻撃する役割を果たしました。

特に、イラク戦争ではMiG-25が敵機を撃墜したという報告があり、その高速性が一定の効果を発揮したことが示されています。しかし、長年の使用により、そのデリケートな機体構造や複雑な整備が求められ、多くの国で運用が終了しました。

現在の状況

冷戦終了後、MiG-25は多くの国で退役し、現在はシリアやアルジェリアなど一部の国でのみ運用されています。アゼルバイジャンでは近代化改修が行われた一方、ブルガリアやインドではすでに退役が完了しています。MiG-25は、その設計自体が1960年代に遡るため、現代の航空機技術と比較して搭載された技術は古く、鍵となる機能が時代遅れであるために次第にその姿を消していくこととなるでしょう。

結論

MiG-25は、その誕生から今日まで非常に特異な地位を占める航空機であり、冷戦時代の航空戦における重要な役割を果たしてきました。その高速度と特異な設計は、今なお航空機ファンや軍事愛好者の間で語り継がれ、多くの新型機に影響を与えてきたのです。

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