Microsoft NetMeetingとは？意味をやさしく解説

Microsoft NetMeetingとは

Microsoft NetMeetingは、Microsoft Windows 95 OSR2からWindows XPまでに標準搭載されていたクライアントソフトウェアです。このソフトは、T.120プロトコルを用いた多地点データ会議と、H.323プロトコルを用いた1対1のビデオ会議機能を提供していました。

主要機能

- データ会議: T.120勧告に準拠しており、他社製品でもT.120に対応していれば、ホワイトボード、アプリケーション共有、デスクトップ共有、ファイル転送などの機能を用いた多地点でのデータ会議が可能です。電話会議と組み合わせることで、より効率的な遠隔会議が実現できました。
- ビデオ会議: H.323プロトコルにも対応しており、H.323準拠の他社製ビデオ会議装置や、Ekigaのようなクライアントソフトとの相互通信が可能です。ただし、NetMeeting自体には多地点ビデオ会議を主催するMCU機能は含まれていませんでした。

ネットワークと接続

NetMeetingは、プライベートIPアドレス環境からでもInternet Locator Server (ILS)を利用してグローバルIPアドレスに出ることができました。しかし、ファイアウォールでNetMeetingが使用するポートがブロックされていると、ILSに到達できず外部との通信はできませんでした。マイクロソフトはILSの運用を終了しましたが、現在でも利用可能なサーバーは存在します。ILSはWindows 2000でも動作させることができ、ポート番号を変更することで利用できました。

インスタントメッセンジャーとの比較

Yahoo! MessengerやMSN Messengerなどのインスタントメッセンジャーが普及する以前は、NetMeetingがビデオ会議やインターネットチャットで広く利用されていました。ILSサービスを利用するか、IPアドレスを直接指定して接続していました。

Windows Messengerへの移行

Windows XP以降、マイクロソフトはWindows Messengerへの移行を推奨しましたが、NetMeetingも標準でインストールされていました。Windows MessengerやMSN Messenger、Windows Live Messengerは、アプリケーション共有、デスクトップ共有、ホワイトボード機能などをNetMeetingのコンポーネントを利用して実現していましたが、通信プロトコルにはH.323ではなくSIP（Session Initiation Protocol）を採用しており、互換性はありませんでした。

Microsoft Office Communications ServerもSIPベースであるため、NetMeetingとの接続はできませんでした。

Windows Vista以降

Windows Vistaのリリースに伴い、NetMeetingはOSから削除され、Windows Meeting Spaceに置き換えられました。Windows Meeting Spaceはコラボレーション機能のみを提供し、NetMeetingのビデオ会議機能は搭載されていませんでした。

Vista向けホットフィックス

マイクロソフトは、NetMeetingのサポートは行わないものの、2007年3月22日にVista向けのホットフィックスを提供しました。このホットフィックスを適用することで、VistaにNetMeetingをインストールし、XPベースのPCと連携が可能になりました。ただし、リモートデスクトップ共有の受信ができないなどの制約がありました。しかし、このホットフィックスは現在、マイクロソフトのサイトから削除されており、ダウンロードはできません。

後継技術

マイクロソフトは、ネットでの連携と画面共有のために、SharedViewを別途リリースしました。SharedViewは無償で利用できますが、Microsoftアカウントとインターネット接続が必要であり、ローカルLANのみでは動作しません。

まとめ

Microsoft NetMeetingは、かつて多地点でのデータ会議やビデオ会議を可能にした重要なツールでした。しかし、技術の進歩とともにその役割は終わりを迎え、後継技術へと引き継がれています。このソフトの歴史は、コミュニケーション技術の進化の一側面を示していると言えるでしょう。

Microsoft NetMeeting