Microsoft Paint

Microsoft Paintの歴史と機能進化

Microsoft Paintは、Windows OSに標準搭載されているグラフィックソフトウェアです。シンプルながらも長年にわたり多くのユーザーに親しまれ、その歴史はWindows 1.0にまで遡ります。本稿では、Paintの誕生からWindows 11における最新版まで、その歴史と機能進化を詳細に解説します。

Paintのはじまりと初期バージョン

Paintのルーツは、Zsoft Corporationが開発した「PCペイントブラシ」というドローソフトにまでさかのぼります。これはAppleの「Macペイント」の影響を受けており、Windows 1.0にバンドルされる形で採用されました。初期のPaintは、MSPというモノクロ画像形式のみをサポートし、レイヤー機能や画像補正機能などは存在しませんでした。しかし、そのシンプルさから、落書きや簡単な図の作成などに広く利用されました。主な機能は、鉛筆、ブラシ、塗りつぶし、図形描画ツールなどであり、拡大・縮小、反転、印刷などの基本的な機能も備えていました。

Paintbrushの登場とカラー対応

Windows 3.x/NT 3.xx時代には、Paintbrushが登場しました。実行ファイル名はPBRUSH.EXEで、カラー画像に対応した点が大きな進化でした。PCX形式の画像の読み書きにも対応し、ユーザーが独自の色を作成してパレットに追加できる機能も追加されました。また、消しゴムツールは背景色で塗りつぶす機能に変更され、傾きツールや伸縮ツールといった、より高度な編集機能も搭載されました。

Windows 95/NT 4.0以降のPaint

Windows 95/NT 4.0では、Paintという名前で復活しました。実行ファイル名はMSPAINT.EXEとなり、BMPとPCX形式をサポート。ただし、PCXは読み込み専用となりました。スポイトツールや回転ツールが追加され、Undo機能も3回まで可能になり、使い勝手が向上しました。また、Microsoft OfficeなどのアドオンによってGIFやJPEG形式の画像の読み込みが可能になりました。

Windows XP以降の進化

Windows XPでは、画像の拡大縮小が滑らかになり、JPEG、GIF、PNG、TIFF形式の読み書きにも対応しました。Windows VistaではUndo回数が10回に増加し、表示サイズが1/8～8倍まで選択可能になり、トリミング機能も追加されました。Windows 7では、リボンインターフェースの採用、PNG形式への対応、Undo回数の増加（50回）、タッチスクリーン対応など、大幅な改良が施され、ブラシの種類や図形描画ツールの種類も増加しました。

Paint 3DとWindows 10/11

Windows 10 Creators Updateでは、Paint 3Dがリリースされました。従来の2次元画像編集機能に加え、3次元モデルデータの編集・合成機能が追加されました。Windows 10 Fall Creators Updateでは、Paintは非推奨となり、Paint 3Dへの移行が推奨されました。Windows 11では、PaintはUWPアプリとして刷新され、Microsoft Storeで提供されるようになりました。ビジュアルデザインが変更されたほか、レイヤー機能、透過機能、背景削除機能などが追加され、大幅な機能強化が図られました。

まとめ

Microsoft Paintは、Windows OSと共に進化を遂げてきた、歴史のあるペイントツールです。シンプルな操作性から高度な編集機能まで、時代に合わせて機能が追加・改良されてきました。Windows 11における最新版では、レイヤー機能などの高度な機能も追加され、より幅広い用途に対応できるようになっています。そのシンプルさと機能性の両立は、これからも多くのユーザーに利用される理由でしょう。

もう一度検索