Microsoft UI Automation

Microsoft UI Automation (UIA) について

Microsoft UI Automation (UIA) は、アプリケーションのユーザーインターフェース (UI) 要素を識別し、操作するためのAPIです。主な目的は、ユーザーインターフェースのアクセシビリティを向上させることであり、Microsoft Active Accessibility (MSAA) の後継として開発されました。UIAは、グラフィカルユーザーインターフェース (GUI) のテスト自動化を容易にし、多くのテスト自動化ツールやRPAツールで利用されています。

UIAのプロパティプロバイダは、Win32と.NETの両方のプログラムをサポートしています。最新の仕様は、Microsoft UI Automation Community Promise Specificationの一部として公開されており、MicrosoftはWindowsプラットフォーム以外への移植も視野に入れています。実際に、Mono環境にも移植されています。

歴史

2005年、MicrosoftはMSAAの後継としてUIAをリリースしました。マネージドUI Automation APIは、.NET Framework 3.0の一部として提供され、ネイティブUI Automation API (プロバイダ) は、Windows VistaおよびWindows Server 2008 SDKに含まれていました。その後、UIAはWindows 7にWindows Automation API 3.0の一部として組み込まれ、Windows XP、Windows Vista、Windows Server 2003/2008向けには個別にダウンロードが可能になりました。

目的

UIAは、MSAAの後継として以下の目標を掲げて開発されました。

クライアントが対象アプリケーションのプロセスにフックしなくても効率的なパフォーマンスを実現する。
UIに関するより詳細な情報を提供する。
MSAAと共存しつつ、MSAAの課題を解消する。
MSAAに代わるよりシンプルな実装を提供する。

技術概要

利用可能なオペレーティングシステム

当初、UIAはWindows VistaとWindows Server 2008で利用可能でしたが、その後.NET Framework 3.0の一部としてWindows XPとWindows Server 2003でも利用できるようになりました。Windows 7以降のすべてのWindowsバージョンには統合されています。

Windowsプラットフォーム以外では、Oliveプロジェクト（.NET Frameworkのサポートを目指すMono coreのアドオンライブラリ）が、WPF (PresentationFrameworkおよびWindowsBase) とUI Automationのサブセットを同梱しています。

また、ノベルによるMonoアクセシビリティプロジェクトは、Monoフレームワーク向けのUIAプロバイダとクライアントの実装を提供しています。このプロジェクトは、Linuxの支援技術 (AT) 向けのアクセシビリティツールキット (ATK) との橋渡し役も担い、UIAベースのATをATKを実装するアプリケーションと連携させることが可能となっています。

関連テクノロジーと相互運用性

Microsoft Active Accessibility (MSAA): UIAはMSAAの後継ですが、MSAAに依存するアプリケーションがまだ存在するため、UIAアプリケーションとMSAAアプリケーションの間で情報共有が必要です。MSAA-to-UIAプロキシとUIA-to-MSAAブリッジが開発され、相互運用性を実現しています。MSAA-to-UIAプロキシは、MSAAの情報を元にUIAクライアントAPIで利用できるようにし、UIA-to-MSAAブリッジは、MSAAクライアントがUIAを実装するアプリケーションにアクセスできるようにします。
Accessible Rich Internet Applications (ARIA): UIAのAriaRoleおよびAriaPropertiesプロパティは、HTML要素に対応するARIA属性値へのアクセスを可能にします。これにより、WebブラウザでUIオートメーション要素としてアクセスできるようになります。ARIA属性からUIAへの一般的なマッピングも利用できます。
Windows Automation API: Windows 7以降、Microsoftはアクセシビリティ技術をWindows Automation APIというフレームワークにまとめました。MSAAとUIAはともにこのフレームワークの一部となっています。旧バージョンのWindowsについては、KB971513を参照してください。
Monoアクセシビリティプロジェクト: Microsoftとノベルは2007年 11月7日、相互運用性に関する合意を発表し、アクセシビリティ機能の拡張について発表しました。ノベルは特に、UIAフレームワークがLinux Accessibility Toolkit (ATK)などの既存のLinuxアクセシビリティプロジェクトと連携できるようにオープンソースのアダプタを開発し、SUSE Linux Enterprise Desktop、Red Hat Enterprise Linux、Ubuntu Linuxと共にリリースされることを発表しました。これにより、UIAはクロスプラットフォームでの利用が可能になりました。

脚注

詳細については以下の資料を参照してください。

外部リンク

UIオートメーションの概要
UIオートメーションのススメ
UI Automation Verify (UIA Verify) Test Automation Framework
UI Automation PowerShell Extensions
* TestStack/White

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