Microsoft Windows 10 IoT

Windows 10 IoT：組み込み機器のためのWindows

Windows 10 IoTは、マイクロソフトが開発した、組み込みシステム向けのオペレーティングシステムです。「モノのインターネット（IoT）」時代に対応すべく、幅広いデバイスをターゲットに設計されました。従来のWindows Embeddedシリーズの後継として、Windows 10のカーネルをベースに開発され、デスクトップ版Windowsと共通のアプリケーション開発基盤であるユニバーサルWindowsプラットフォーム（UWP）をサポートすることで、開発効率の向上にも貢献しました。クラウドサービスであるAzure IoTとの連携も強化されており、IoTデバイスの管理やデータ分析を容易に行うことができます。

Windows 10 IoTの主要なエディション

Windows 10 IoTは、いくつかのエディションに分かれて提供されていました。それぞれのエディションは、ターゲットとなるデバイスや用途に応じて機能が異なっています。主なエディションは以下の通りです。

Windows 10 IoT Enterprise: 産業用機器、特に安定稼働が求められるATMやPOSシステムなどに向けたエディションです。Windows 10 Enterpriseをベースに、セキュリティ強化やロックダウン機能が追加されています。長期サポート（LTSB）と、より頻繁なアップデートが提供されるCurrent Branch for Business (CBB)の2種類のブランチが提供されました。
Windows 10 IoT Core Services: サーバー向けのIoTデバイスをターゲットとしたエディションです。Windows Serverをベースにしており、IoTデバイスの集中管理やデータ処理に適しています。
Windows 10 IoT Core: 小型IoTデバイスに対応したエディションです。リソースの少ないRaspberry Pi 2などのシングルボードコンピュータでも動作するように最適化されており、ディスプレイを持たないデバイスもサポートしていました。当初は非商用目的であれば無償で利用可能でしたが、その後無償で利用できるようになりました。バージョン1809でサポートが終了し、IoT Core Servicesに移行しました。
Windows 10 IoT Core Pro: OEM向けに提供されていたエディションで、IoT Coreと機能的にはほぼ同じですが、アップデートの延期機能（CBB）が追加されていました。バージョン1607でサポートが終了しました。
* Windows 10 IoT Mobile Enterprise: スマートフォンや小型タブレットなどのモバイルデバイス向けのエディションです。Windows 10 Mobile Enterpriseをベースに、長期間のサポートが提供されました。

Windows 10 IoT Coreのバージョン履歴とサポート終了

Windows 10 IoT Coreは、複数のバージョンがリリースされました。各バージョンには、機能強化やセキュリティパッチが含まれていました。しかし、マイクロソフトは2020年11月10日にWindows 10 IoT Coreのサポートを終了しました。 Windows 10 IoT Enterpriseについても、LTSB（Long-Term Servicing Branch）のエディションは2025年以降、サポートが終了する予定です。

Windows 10 IoTのシステム要件

Windows 10 IoTのシステム要件は、ターゲットとするエディションやデバイスによって異なります。一般的に、メモリやストレージ容量の少ないデバイスでも動作するように設計されています。具体的な要件は、マイクロソフトの公式ドキュメントを参照してください。

Windows 10 IoTの沿革

Windows 10 IoTは、2015年2月にRaspberry Pi 2などのシングルボードコンピュータに対応したIoT Coreの無償提供を発表したことをきっかけに、多くの注目を集めました。その後、様々なエディションがリリースされ、多くの組み込み機器に採用されてきました。しかし、サポート終了に伴い、新たなデバイス開発にはWindows 11 IoTが推奨されています。

まとめ

Windows 10 IoTは、マイクロソフトが提供した組み込みシステム向けのOSとして、様々なデバイスをサポートし、IoT分野の発展に貢献しました。しかし、サポートの終了に伴い、現在は後継であるWindows 11 IoTへの移行が推奨されています。 Windows 10 IoTを利用したシステムは、セキュリティ上のリスクを考慮し、可能な限り迅速にアップグレードまたは代替ソリューションへの移行を行うべきです。

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