シングルボードコンピュータ

シングルボードコンピュータ（SBC）とは

シングルボードコンピュータ（SBC）は、その名の通り、一枚のプリント基板上にコンピュータとして必要な機能がほぼ全て実装された小型のコンピュータです。一般的に手のひらサイズ程度で、CPU、メインメモリ（RAM）、チップセット、入出力端子などが集約されています。

概要

SBCは、組み込みシステムから派生したもので、2000年代後半に登場しました。2008年にはBeagleBoardが登場し、その概念が広まりました。1970～80年代の「ワンボードマイコン」も一枚の基板にコンピュータの要素を搭載していましたが、SBCとはルーツも用途も異なります。

SBCは、組み込みシステム同様にGPIOを備え、センサーやアクチュエータを制御できます。メイカーズムーブメントでの自作にも活用されています。

組み込みシステムへの応用や、Linuxを搭載したモデルが多いため、汎用的なコンピュータとしての利用も可能です。Webブラウザやオフィスソフトを使ったり、サーバ用途にも利用できます。

Linuxの利用

多くのSBCはOSにLinuxを採用しており、GUIとCUIの両方を利用できます。HDMI端子を持つモデルでは、ディスプレイに接続して通常のPCのように使用可能です。Linux上で利用可能な豊富なアプリケーションソフトウェアも利用可能です。また、サーバ用途では、ネットワークアクセスサーバ（NAS）やWebサーバとして使用され、画像処理、画像認識、AI、IoTなどにも活用されています。

開発環境としても使用でき、プロの技術者も利用しています。

設計と仕様

組み込みシステムをルーツに持つため、省電力設計が一般的です。CPUはマイクロコントローラやSoCと呼ばれるものが採用されています。

近年では、汎用PC的な利用を考慮し、高性能モデルも登場しています。Raspberry Pi 5のように2.4GHzで動作するクアッドコアCPUを搭載したモデルもありますが、その分消費電力も大きく、ACアダプタでの使用が基本となります。一方で、小型化と省電力化を追求したタイプもあり、電池駆動で長時間使用できるものもあります。

現在、SBCは主に3つのタイプがあり、用途や好みに合わせて選択できます。

歴史

前史

1970～90年代には、CPU、RAM、I/Oなどを1枚の基板に搭載した「ワンボードマイコン」が存在しましたが、サイズや性能、用途はSBCとは大きく異なりました。

SBCの歴史

SBCは2000年代後半に登場し、2008年のBeagleBoardがその先駆けです。アプライアンス、プラグコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの発展を背景に、ARMチップメーカーの戦略も影響しています。

2012年のRaspberry Piの大ヒットにより、SBCは広く認知されるようになりました。2014年6月までに300万台を販売しています。

Intelもウェアラブル[[コンピュータ]]開発用にIntel Galileo、Intel Edisonをリリース。Adapteva Parallellaは高性能をアピールしました。

SBCの世界市場は2021年には10億ドル規模に成長しました。

2020年からのコロナ禍で、半導体不足により生産が滞りましたが、2022年末にはサプライチェーンの改善が見られ、価格も落ち着き始めています。2023年中盤から後半にかけて市場はパンデミック前の状態に戻ると予測されています。

主な製品

Raspberry Pi - イギリスのラズベリー財団が開発した最もメジャーなSBCです。
Intel Galileo, Intel Edison, Intel Joule - アメリカのIntel社が開発したSBCです。
BeagleBoard, PandaBoard - アメリカのTI社のチップを用いたSBCです。
ODROID - 韓国のHardkernel社によるSBCです。
Parallella - アメリカのAdapteva社によるSBCです。

ギャラリー

（画像や動画は省略）

参照

（参照リンクは省略）

関連項目

ワンボードマイコン
* Computer on Module

もう一度検索