Mk 10 5インチ砲

Mk 10 5インチ25口径砲

Mk 10 5インチ25口径砲は、1920年代から1930年代にかけて、アメリカ海軍の艦艇に広く装備された対空砲です。この砲は主に巡洋艦や戦艦、航空母艦に搭載され、軍艦の防空能力を高めました。その手動旋回方式にもかかわらず、軽快に動作することができ、当時の艦載対空砲としての役割を果たしました。

基本仕様

この砲は、直径5インチ（約12.7センチメートル）の弾丸を、直径の25倍にあたる3.2メートルの長さを持つ砲身から発射します。総重量は約2トンで、弾頭は24キログラム、無煙火薬を充填した薬莢は4.4キログラムという組み合わせで、初速は640メートル毎秒に達します。また、最大射高は仰角を85度に設定することで8,400メートルまで到達可能でした。砲身命数は4,260発とされており、戦闘での使用にも耐えうる設計がなされていました。

特徴と性能

この砲は、短い砲身を持ちながらも素早く旋回させることが可能で、敵機や他の目標に対する精度を高めることができました。特に高仰角での射撃が迅速に行えるため、当時の海軍にとって非常に有用な装備でした。しかし、1930年代の中頃からは、より長い射程と高い命中率を求める声が高まり、5インチ両用砲に取って代わられていきました。

時代背景と変遷

第二次世界大戦前に新たに建造された艦艇の多くは、この5インチ25口径砲から5インチ両用砲に順次置き換えられていき、以後の戦局における対空能力の向上に寄与しました。真珠湾攻撃の際、沈没した艦船はサルベージされ、近代化改修を施された際に5インチ25口径砲の砲身にはクロムメッキが施されていました。

潜水艦への転用

また、1943年ごろには取り外された5インチ25口径砲が太平洋戦域の潜水艦に搭載されるようになります。従来、潜水艦には3インチや4インチの小口径砲が装備されていましたが、それでは日本の小型艦船や通商船に対処するのが難しいとの意見が高まり、この砲の搭載が決定されたのです。これにより、Mk17砲架からMk40型潜水艦用砲架に移設されることとなり、最大仰角40度でより長い射程を誇ることになりました。ただし、この新しい配置では自動装填装置が省かれ、すべて手動で操作する必要がありました。

総括

Mk 10 5インチ25口径砲は、その軽快な動作と高い仰角での発射能力によって、アメリカ海軍の艦艇における初期の対空防衛の中心的な役割を果たしました。戦時を通じて多くの艦艇に搭載されたこの砲は、その後の役割の変遷を経て、最終的にはより高性能な装備へと移行していくこととなりました。

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