Mk48 (魚雷)

MK48魚雷の概要

MK48魚雷は、アメリカ海軍が開発した対艦艇および対潜水艦戦闘用の大型誘導魚雷です。この魚雷は、533mmの魚雷発射管から発射される設計となっており、先代のMk37やMk14魚雷を置き換える目的で開発されました。初めて登場したのは1972年で、その後改良を重ねてきました。

開発の歴史

MK48は、特に1972年に原子力潜水艦「アルファ型」の運用開始に伴い、大幅な改良を受けました。ADCP（Advanced Capability Torpedo）計画により、新型の電子機器が搭載され、1985年からはMk-48 Mod 4の先行量産が始まりました。続いて、1988年には更に能力を向上させたADCAP型の運用が開始されました。これにより、MK48シリーズはアメリカ海軍の主力魚雷としての地位を確立しました。2012年時点では、Mk-48 Mod 6が現在の運用版として存在しており、Mod 7も試射されていました。現在アメリカ海軍には1,046本のMK48魚雷が配備されています。

誘導システム

MK48の特徴的なポイントは、その柔軟性に富んだ誘導システムです。基本的に、魚雷本体のソナーによる探信・受聴（アクティブ及びパッシブ）誘導と、母艦からの有線誘導の2つの方式があります。有線誘導では、魚雷と母艦が電子的に接続され、母艦側のソナーによって初期誘導が可能となります。この機能により、魚雷が取得した情報を母艦側で高度に解析し、精度の高い命中が期待できます。

また、魚雷には自律性も備わっており、目標捕捉時に妨害手段があった場合でも、オペレーターが介入することで攻撃を継続することが可能です。射出された魚雷は、事前にプログラムされたルートに従い捜索、捕捉、攻撃を進め、万が一初回で目標を外しても再攻撃の機能を持っています。

改良と今後の展望

海軍研究局では、2017年からMK48 Mod 7の射程を延長するための試作魚雷推進システムの開発を開始しました。この研究計画では、オットー燃料タービンエンジンとアルミニウム酸化物を用いた電気推進システムの導入が検討されています。一方で、代替の貯蔵化学エネルギー推進システムは除外されることとなりました。

要目

以下はMK48魚雷およびADCAP魚雷に関する主なスペックです。

• - 種別: 潜水艦用長魚雷
• - 全長: 5.79m
• - 直径: 533mm
• - 重量: 1,662.75kg
• - 弾頭: 292.5kg 高性能爆薬
• - 射程:

- MK-48: 約40.7km（40kt）、約31.5km（55kt）
- MK-48 ADCAP: 50km（40kt）、38km（55kt）

• - 運用深度: 1,000フィート（366m）
• - 捜索・攻撃深度: 最小18m、最大1,374m
• - 最大速力: 50kt以上
• - 機関: 斜板機関 / ウォータージェット推進

配備国

MK48は、アメリカ海軍をはじめ、オーストラリア、ブラジル、カナダ、オランダの各海軍でも運用されています。また、台湾海軍では2020年にアメリカ海軍からの対外有償軍事援助を受け、MK48魚雷の導入が決定されています。

このように、MK48魚雷はその高い技術力と多様な運用可能性から、今後も主要な戦闘装備として期待されています。

もう一度検索