Mobility as a Service

MaaS（モビリティ・アズ・ア・サービス）とは

MaaS（モビリティ・アズ・ア・サービス、Mobility as a Service）は、公共交通機関を含む様々な移動手段を、単一のプラットフォーム上でシームレスに利用できるようにする概念、およびそのためのサービスです。自家用車の利用を減らし、より効率的で持続可能な移動手段を提供することを目指しています。MaaSの実現には、ICT（情報通信技術）が不可欠であり、スマートフォンのアプリなどを通じて、移動の計画、予約、決済が統合的に行えるようになります。

MaaSの概要

MaaSは、都市部の居住者が利用可能な多様な交通サービスを、スマートフォンのアプリのような単一のプラットフォーム上で選択できるようにします。このアプリを通じて、移動の行程を計画したり、定期的な交通サービスを契約したりできます。これにより、自家用車に頼らずとも便利に移動できるようになることが期待されています。

MaaSに必要な要素としては、交通機関の運行情報、運賃・料金の設定及び決済などが挙げられます。これらの要素を統合することで、観光や医療など目的地における交通以外のサービスとの連携が可能になり、移動の利便性向上や地域課題の解決に貢献することが期待されています。

公共交通機関の運行情報

鉄道やバスなどの経路や時刻表といったデータを検索し、組み合わせることで、利用者のニーズに合ったサービスが提案されます。このため、日本では2015年9月に公共交通オープンデータ協議会が設立され、「公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会」が、データ公開の推進を進めています。

各国におけるMaaSの事例

日本

JRグループ: JR西日本とJR東日本では、それぞれ「WESTER」と「JR東日本アプリ」を通じて、リアルタイムでの経路選択や遅延情報を考慮したルート検索機能を提供しています。
トヨタ自動車: 自動車会社からモビリティ・カンパニーへの変革を宣言し、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用した「e-Palette Concept」を発表しています。また、東京オリンピック・パラリンピック仕様の「e-Palette」も開発しました。
NTTドコモ: 移動の高度化、統合、サービス連携（移動×サービス）の3つの軸でMaaSに取り組んでいます。MaaSのノウハウを求める人材の越境転職も増えています。

フィンランド

MaaS Global社の「Whim」: 複数の交通事業者のサービスを統合し、経路検索から予約、決済までを単一のアプリで行えます。月額定額プランも提供されており、ヨーロッパを中心にサービスを拡大しています。2018年7月には、フィンランド運輸通信省によって交通サービス法が施行され、MaaSの推進が進められています。

ドイツ

Moovel社の「moovel」: ダイムラー社の子会社が提供するMaaSアプリで、ドイツ全土を対象に複数の交通手段を組み合わせたルート検索、予約、決済が可能です。BMW社との提携も進めています。
ドイツ鉄道の「Qixxit」: 複数の交通手段を用いたルートや運賃を計算するサービスです。

イギリス

MaaS Global社の「Whim」: ウェストミッドランドでサービスが展開されています。

MaaSの利点

都市部の交通渋滞緩和: 効率的な交通システムの構築により、都市部の交通渋滞が軽減されます。
環境負荷の低減: 自家用車の利用を減らすことで、二酸化炭素排出量の削減に貢献します。
地方の利便性向上: 自動運転車などの導入により、交通手段が少ない地域での移動が便利になります。
新しい生活様式への対応: 3密の回避など、新しい生活様式に合わせた移動手段を提供できます。
公共交通の有効活用: バスや電車などの既存の公共交通機関をより有効に活用できます。
地域活性化: 外出機会の創出により、地域経済の活性化につながります。
スマートシティ実現: スーパーシティやスマートシティの実現に貢献します。

まとめ

MaaSは、単に交通手段を提供するだけでなく、都市の抱える様々な課題を解決する可能性を秘めています。ICTを活用し、より便利で持続可能な社会を実現するために、今後ますます注目されていくでしょう。

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