MorphOS:多様なハードウェアをサポートする独自のOS
MorphOSは、
プロプライエタリソフトウェアとオープンソースソフトウェアを組み合わせた、ユニークな
オペレーティングシステム(OS)です。主に
PowerPCプロセッサを搭載したハードウェアで動作し、特定の
Amigaコンピュータや、EFIKA、mobileGTなどのGenesi製ファームウェア搭載ボードに対応しています。
基本構成
MorphOSの中核は、プロプライエタリなQuarkマイクロ
カーネルで構成されています。しかし、ライブラリやその他の部分ではオープンソースソフトウェアも積極的に活用されています。例えば、デスクトップ環境のAmbientはオープンソースとして開発されています。
特徴とバージョン
PowerPC向け開発: MorphOSは、フリースケールとIBMが開発したPowerPCプロセッサ向けに最適化されています。
AmigaOS互換性: MC680x0向けの
AmigaOSアプリケーションは独自のタスクベース
エミュレータで動作し、
PowerPC版
AmigaOSアプリケーションはAPIラッパー経由で動作します。APIは
AmigaOS 3.1互換で、GUIはMUIをベースとしています。
対応ハードウェア: Pegasosだけでなく、AmigaにPowerPCアクセラレータカードPowerUPを搭載したマシンでも動作します。PowerUP版は登録(無料)によりフル機能が利用できます。また、EFIKAという小型で低消費電力の基板もサポートしており、MorphOS 2.0以降で利用可能です。
主要コンポーネント
MorphOSは、以下のコンポーネントで構成されています。
ABox: AmigaOSとのバイナリ互換性を提供します。68kアプリケーション用JIT
エミュレータTranceや、
PowerPC版
Amigaとの互換性を実現するモジュールを含みます。
AHI: オーディオシステム。
Ambient desktop: デフォルトのデスクトップ環境。
CyberGraphX: グラフィックスシステム。
Magic User Interface: 主なGUIツールキット。
TinyGL: OpenGL実装とWarp3Dエミュレーション。
Trance JIT: 68kアプリケーション用JITコードトランスレータ。
*
Quark: ハードウェアに近い部分の管理を行うマイクロ
カーネル。
歴史
MorphOSの開発は1999年に始まりました。初期バージョンは、
Amigaに
PowerPCアクセラレータカードを搭載した環境でのみ動作し、
AmigaOSの一部を必要としていました。
2002年には、bPlanとThendic-Franceの協力により、MorphOSとLinuxが動作するPegasosコンピュータが完成しました。その後、Thendic-Franceの財政問題により提携は終了しましたが、新たにGenesiという名称で協力関係が継続されました。
2003年から2004年にかけては、開発チーム内で激しい論争が発生し、AmbientデスクトップインタフェースがGPLでリリースされることになりました。現在、Ambientは独立したチームによって活発に開発が進められています。
2008年には、MorphOS 2.0がリリースされました。このバージョンでは、ネイティブTCP/IPスタック、ウェブブラウザSputnik、AltiVecサポート、GUI用3Dレイヤ、USBコンポーネントの更新など、多くの新機能が追加されました。また、EFIKA、Pegasos I、Pegasos IIのサポートも含まれています。
MorphOS 2.0は有料で販売されましたが、フル機能が有効なデモ版も提供されており、登録しない場合は30分経過すると速度が低下します。その後、MorphOS 2.1および2.2がリリースされ、
バグ修正や機能の追加が行われました。
ネットワークとウェブブラウザ
MorphOSには、ネイティブのTCP/IPスタック(Netstack)とウェブブラウザ(Sputnik)が搭載されています。SputnikはCSSをサポートするなど最新の機能を取り入れていますが、Flashには対応していません。Sputnikの開発はコミュニティの補助金制度によってサポートされています。また、別のTCP/IPスタックであるMOSNetも補助金制度で開発されました。
SputnikはKHTMLブラウザをベースとしており、S60
Webkitをベースに開発されました。最初のSputnikは
2006年11月11日にリリースされ、MorphOS 2.0に最新版が同梱されました。
まとめ
MorphOSは、独自のアーキテクチャと
AmigaOSとの互換性を備えた、興味深い
オペレーティングシステムです。オープンソースとプロプライエタリの要素を組み合わせ、特定のハードウェア環境で高度な機能を提供しています。その歴史と開発の経緯は、OS開発の複雑さとコミュニティの重要性を物語っています。