MotoE世界選手権

FIM Enel MotoE世界選手権：電動バイクによるスピードの祭典

FIM Enel MotoE世界選手権は、国際モーターサイクリズム連盟（FIM）が公認する、電動バイクを用いたロードレース世界選手権です。2022年まではFIM Enel MotoEワールドカップとして開催されていましたが、2023年シーズンより現名称に変更されました。

波乱の幕開けと進化

2019年、ヨーロッパ5ヶ所のサーキットを舞台にMotoGPのサポートレースとして開催予定だった開幕シーズンは、スペイン・ヘレスサーキットでのテスト走行中に発生した大規模な火災により、マシンが全損する事態に見舞われました。この影響で、当初予定されていたヘレスとフランス・サルトサーキットでのレースは中止となり、スケジュールの大幅な変更を余儀なくされました。しかし、この困難を乗り越え、7月から12月にかけて6レースが開催され、イタリアのMatteo Ferrari選手が初代チャンピオンに輝きました。その後も、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により、レーススケジュールが変更されるなど、幾多の困難に見舞われながらも、選手権は続けられています。

エネルジカ製電動バイク：驚異のスペック

レースで使用される電動バイクは、イタリアの電動バイクメーカー、エネルジカ社製の『Energica Ego Corsa』です。そのスペックは、まさに電動バイクの最先端を象徴しています。

モーター: 永久磁石シンクロナスモーター（オイル冷却）
最高出力: 110 kW (約147 hp)
加速: 0-60 mph (約96 km/h) 3秒
最高速度: 250 km/h
トルク: 147.5 lb.-ft. (約200 Nm) (5,000 rpm)
フレーム: 鉄製トラスフレーム
スイングアーム: 鋳造アルミニウム
ホイール: 鍛造アルミニウム
スロットル: ライドバイワイヤ方式
バッテリー: 高電圧リチウムイオンバッテリー
充電: CCS準拠の直流急速充電ステーションを使用すれば、約20分で0から80％まで充電可能です。交流普通充電にも対応しています。

これらの高い性能は、ライダーたちに白熱したレースを展開させる上で重要な要素となっています。

各シーズンの軌跡と今後の展望

2019年から2023年シーズンまではエネルジカ社がマシンを供給していましたが、2023年シーズンからはドゥカティが新たなサプライヤーとなり、さらなる技術革新と進化が期待されています。各シーズンのチャンピオンは以下の通りです。

2019年: Matteo Ferrari
2020年: Jordi Torres
2021年: Jordi Torres
2022年: Dominique Aegerter
2023年: Mattia Casadei
* 2024年: Hector Garzo

日本人ライダーの大久保光選手も2021年シーズンに参戦するなど、国際的なレースとして注目を集めています。MotoE世界選手権は、電動バイクの技術開発を促進し、持続可能なモータースポーツの未来を切り開く重要な役割を担っています。今後の発展にも期待が高まります。

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