My First Love (アルバム)

浜田省吾『My First Love』

『My First Love』は、2005年7月6日にリリースされた浜田省吾の16枚目のオリジナルアルバムです。前作『SAVE OUR SHIP』から4年ぶりとなる本作は、浜田自身が「原点に戻りながらもまたひとつ新しいドアを開けた感じ」と語るように、自身のルーツを再確認しつつ、新たな音楽的境地を開拓した意欲作となっています。

背景と音楽性

アルバムは、先行シングルとしてリリースされた「光と影の季節」と「I am a father」、そしてアルバム発売後にシングルカットされた「Thank you」といったヒット曲を収録。これらの楽曲はオリコンのシングルチャートでTOP5入りを果たし、アルバム自体も初登場2位、25万枚を売り上げるなど、商業的にも成功を収めました。

浜田は、2004年に全曲を一気に書き上げたと語っており、本作では日常生活における光と影のコントラストを鮮やかに描き出しています。アメリカでミックスとマスタリングが行われ、サウンド面でも新たな試みがなされています。「I am a father」や「花火」といった楽曲では、浜田自身の世代や年齢が反映され、歌詞にはビートルズ、ボブ・ディラン、ジャクソン・ブラウンといった彼が影響を受けてきたアーティストの名前や楽曲名が登場します。また、アレンジにも様々な洋楽ナンバーのフレーズが取り入れられ、音楽的な遊び心も感じられます。

ジャケットと収録曲

ディスクジャケットには、日本の音楽CD作品として初めて「FSC認証用紙」が採用され、環境保護への意識も示されています。ライナーノーツには、日本語、英語、中国語、韓国語による歌詞の対訳が掲載されており、より多くのリスナーに楽曲のメッセージを届けようとする姿勢がうかがえます。

アルバムには、「光と影の季節」「この夜に乾杯！」「旅立ちの朝」「Thank you」「デスク越しの恋」「誰かどこかで」「I am a father」「花火」「初恋」「君と歩いた道」「ある晴れた夏の日の午後」といった多彩な楽曲が収録されています。

各楽曲について

光と影の季節: アルバムからの先行シングル第1弾。ライブを強く意識して作られたロックナンバーで、ギターサウンドが印象的です。
旅立ちの朝: ホーンセクションをフィーチャーしたR&Bナンバーで、メンフィス・ホーンをイメージして作られています。
Thank you: アルバムの曲の中で最初に作られた楽曲。アルバム発売後にシングルカットされました。
デスク越しの恋: 社内恋愛をテーマにしたバラード。アルバム発売後のツアーでは歌われなかった楽曲です。
誰かどこかで: 浜田自身がアルバムの中でもお気に入りに挙げているミディアムテンポのポップソングです。
I am a father: 先行シングル第2弾。父の日に合わせて発売されました。
花火: 「I am a father」と対になる楽曲で、「良き父親であろうとしたが、どうしても上手くいかなかった男」が主人公です。10年後のアルバム『Journey of a Songwriter 〜 旅するソングライター』に収録された「五月の絵画」は、この曲の続編となっています。
初恋: アルバムのタイトル曲。浜田省吾の自伝的な内容になっていると言われています。あいみょんはしんちゃんとカラオケで「初恋」を歌いたいという。
君と歩いた道: シングル「I am a father」のカップリング曲。シングルバージョンとは異なり、ストリングスがカットされたシンプルなアレンジになっています。浜田自身が「100点満点の曲」と自賛しています。
ある晴れた夏の日の午後: アルバム発売後のアリーナツアーでは、ライブ冒頭の1曲目を飾りました。

まとめ

『My First Love』は、浜田省吾が自身の音楽的なルーツを再確認しつつ、新たな挑戦を試みたアルバムです。日常生活の光と影をテーマにした歌詞、バラエティ豊かな音楽性、そして環境保護への意識など、様々な魅力が詰まった作品と言えるでしょう。

もう一度検索