MySoundユーザースペース

MySoundユーザースペース（マイサウンドユーザースペース）



サービス概要


ヤマハ株式会社によって運営されていたオンライン上の音楽コミュニティサービスです。個人が制作したオリジナル楽曲や、既存の楽曲をコピーして演奏した作品などを共有する場として機能していました。このサービスの特にユニークな点は、JASRACなどの著作権管理団体に登録されている楽曲のコピー演奏やアレンジ作品であっても、運営事務局が著作権関連の申請手続きを代行することで、利用者が合法的に公開できる仕組みを提供していたことにあります。

沿革


このサービスは、2007年9月27日に、それまで運営されていた「プレイヤーズ王国」という名称から「MySoundユーザースペース」へと改称されました。しかし、改称から約2年後の2009年12月22日をもってサービス提供を終了し、その活動を終えました。

詳細な内容


MySoundユーザースペースでは、利用者が自ら演奏したり制作したりした幅広い種類の音楽作品をウェブサイト上で公開することができました。これには、声楽（ア・カペラを含む）、楽器による演奏（インストゥルメンタル）、MIDIファイルなど、多様な形式の楽曲が含まれます。公開された楽曲の再生は、通常、別ウィンドウで立ち上がるFlash形式のプレイヤーを通じて行われ、特別なソフトウェアをインストールする必要はありませんでした。ただし、サービスの初期には、ヤマハが配布していたMIDI音源プレイヤー「MidRadio Player」が必要となるケースも存在しました。サービス終了時点までに登録された楽曲数は、累計で5万1000曲以上に達していました。

当サービスの最も大きな特徴は、前述のように、JASRAC等の管理楽曲のコピー演奏を投稿する際に、運営事務局が著作権使用に関する申請手続きを代行していた点にあります。これにより、利用者は煩雑な手続きを行うことなく、自身の演奏スキルやアレンジ作品を多くの人に聴かせることが可能でした。投稿された作品がサイト上で公開されるまでにかかる時間は、事務局による手続きや内容確認のため、通常は4日から2週間程度とされていましたが、サービスが円滑に運営されていた時期には1日から2日程度で公開されることもありました。

主な機能


MySoundユーザースペースには、利用者が音楽活動を行い、互いに交流するための様々な機能が実装されていました。

  • - 作品の公開と管理
利用者は自身で創作したオリジナル楽曲に加え、既存曲のコピー演奏もアップロードして公開できました。アップロード可能な容量は会員の種類によって異なり、無料会員には20MB、月額525円の有料会員には1GBのストレージスペースが提供されていました。

  • - 作品への評価とランキング
公開された作品に対して、他のユーザーは「Very Good!!」や「Good!」といった形で評価を付けることができました。これらの評価の獲得数や楽曲の再生回数などを基にした独自の集計ロジックにより、様々なテーマのランキングが日刊および週間で更新され、人気作品が一目でわかるようになっていました。また、気に入った作品を自身のマイページ上で紹介できる「レコメンド機能」も提供されていました。

  • - 特集記事
サイトでは、定期的に音楽に関連する様々なテーマでの特集記事が掲載され、利用者の興味を引くコンテンツを提供していました。

  • - ミュージックマーケット（Music Market）
月額525円のプレミアム会員に限定された機能として、利用者が自身の制作したオリジナル楽曲を他のユーザーに対して有料で販売することが可能なマーケット機能が提供されていました。

  • - ランキング機能
サイト内の作品は、オリジナル作品とコピー作品という分類に基づき、それぞれ週間および日刊で更新されるランキングが提供されていました。

  • - 検索機能
ユーザーは、目的の楽曲を探すために、Jポップやジャズといったジャンル別での検索や、既存曲のコピーを探すためにアーティスト名の頭文字やキーワードによる検索機能を利用できました。さらに、ユーザー名、性別、年齢といった設定から他のユーザーを検索することも可能でした。

  • - マイページ
ソーシャル・ネットワーキング・サービス（SNS）の要素を取り入れた個人ページ機能も提供されていました。ここでは、自身のプロフィール公開、お気に入りの作品やユーザーの登録、自身が公開した作品や日記の表示・管理などが行えました。有料会員は、マイページの背景画像などをカスタマイズするなど、よりパーソナルな設定が可能でした。

MySoundユーザースペースは、特に著作権処理の代行を通じてコピー楽曲の共有を可能にしたという独自の立ち位置で、当時のオンライン音楽コミュニティにおいて特徴的な存在でした。短いサービス期間ではありましたが、多くの音楽愛好家が自身の作品を発表し、交流する場として機能したサービスと言えるでしょう。

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