MIDI

MIDI規格概説

MIDI（ミュージカル・インストゥルメント・デジタル・インターフェース）は、電子楽器の演奏データを機器間でやり取りするための共通規格です。この規格は1981年に日本のMIDI規格協議会（JMSC）およびMIDI Manufacturers Association (MMA)によって策定され、広く音楽制作の現場で利用されています。

MIDIの構成

MIDI規格には、物理的な通信インターフェース、通信プロトコル、およびファイルフォーマットの複数の要素が含まれています。データは演奏情報（例えば、発音条件や音の高さ、音量など）を含んでおり、音声データとは異なるため、データサイズが小さく、音楽の詳細な調整が容易です。MIDI 1.0が策定された38年後の2019年には、新しいバージョンであるMIDI 2.0の策定が発表され、2023年からは実用的な対応が始まりました。

MIDIの利用範囲

音楽制作では、MIDIはDAW（デジタルオーディオワークステーション）やシーケンサーで利用され、音楽の制作や編集が行われます。MIDIの規格は電子楽器だけでなく、舞台の照明や演出を行うためにも使用されており、幅広い応用がなされています。また、MIDI規格の普及は、DTM（デスクトップミュージック）が一般人にもアクセス可能になり、音楽制作を趣味として楽しむ際の革新をもたらしました。

ハードウェア規格と接続

MIDI機器は通常、5ピンのDINコネクタを使って接続されます。MIDIケーブルはオス端子で、シールドされたツイストペアケーブルが用いられます。主なコネクタには、MIDI信号を受け取る「MIDI IN」、信号を送信する「MIDI OUT」、受信データを再送信する「MIDI THRU」があります。MIDIはバス形式ではなく、情報は一方向で送信されるため、通信エラーのリスクを下げるための絶縁が施されており、複数のMIDI機器を接続する際はMIDIパッチベイなどの利用が推奨されます。また、アクティブセンシング機能により常時接続確認が行われ、断線などの問題を早期に検出する仕組みも整えられています。

MIDIメッセージの種類

MIDIデータは、複数のバイトから構成されるMIDIメッセージとして送信されます。これにより、特定の楽器を鳴らしたり、音色を変更するための情報が伝達されます。

チャンネルメッセージとシステムメッセージ

MIDIメッセージは大きく分けて、特定の楽器チャンネルに関連する「チャンネルメッセージ」と、システム全体に指示を出す「システムメッセージ」に分かれます。チャンネルメッセージはさらに、音を鳴らす、音量を変更するなど、音源に関わる情報を扱います。

システムエクスクルーシブメッセージ

これに対し、システムエクスクルーシブメッセージは各メーカーの機器間で特有のデータをやり取りするために使われ、サンプリングデータなどの詳細な設定を行うことが可能です。また、MIDIタイムコードやMIDIマシンコントロールにより、音楽制作だけでなく映像などの同期にも対応しています。

MIDIの進化と未来

MIDI規格は、1980年代から現在に至るまで、多くの楽器やソフトウェアで幅広く採用されています。特にMIDI 2.0の企画以降、さらに多様な機能が追加される予定で、音楽制作の場面での活用が期待されています。このように、MIDIは音楽関連の技術革新において重要な役割を果たし続けています。

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