NACAダクト

NACAダクトの概要

NACAダクト（エヌエーシーエーダクト）は、1945年にアメリカ航空諮問委員会（NACA）によって開発された、効率的な空気の取り入れを目的とした装置です。この技術は、航空機をはじめ、レーシングカーや一部のスポーツカーでも利用されています。特に、機体の表面に突出部を持たずに空気を取り入れることができる点が特徴です。これは、二等辺三角形の形状を持つエアインテークとして知られています。

NACAダクトの機能

NACAダクトは、内部に空気を導く際に流れの乱れを最小限に抑えることを目的としています。空気は、ダクトの前にある三角形の斜面から導入され、ここで縦の渦が生成されます。この渦は、導入部の境界層が遅くなって圧力回復が弱い状態を助長し、周囲の空気をダクトの内部へ引き込むことに寄与します。このメカニズムにより、空気の流れがスムーズになり、効率的に取り入れられるのです。

NACAダクトは特に亜音速での運用において優れた特性を示します。例えば、ピトー管による圧力回復が100%の効率を持つのに対し、NACAダクトではその値が90%と若干劣りますが、エンジンを機体の内部に搭載する際には、ダクトが湿潤面積や重量の減少にも寄与します。これにより、航空機全体の効率が向上するのです。

利用例と現在の状況

NACAダクトは、黎明期のジェット機において何度か採用されましたが、今ではその使用例はあまり見られません。現在、NACAダクトは主に冷却目的での空気の取り入れや、ガスタービン式の補助動力装置（APU）など、高い圧力回復が求められない場面で利用されています。

関連技術

NACAダクトに関連する技術についても触れておくと、ジェットエンジン、ターボチャージャー、スーパーチャージャーなどの機器は、エアインテークの効率が重要となる場合があります。また、コールドエアインテークやラムジェットエンジン、ショートラムエアインテーク、ウォームエアインテークなど、さまざまな空気取り入れ技術がNACAダクトの理論に基づいています。ちょうどこのように、NACAダクトは航空機やモータースポーツにおいて、空気の流れを最適化するための基礎理論に寄与している重要な技術であるといえるでしょう。

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