NAMIMONOGATARI

NAMIMONOGATARI（なみものがたり）とは

NAMIMONOGATARIは、2005年から2021年まで愛知県で開催されていた、ヒップホップとR&Bを中心とした野外音楽フェスティバルです。長らく日本最大級のヒップホップフェスとして、多くの音楽ファンに親しまれていました。2013年と2014年は開催が見送られましたが、2015年にZepp名古屋で復活。2016年には会場をりんくうビーチに移し、野外フェスとしての開催を再開しました。イベントでは、音楽ライブに加え、子供向けのストリートカルチャー体験プロジェクト「kids dream project」も並行して開催されていました。このプロジェクトでは、ダンス、DJ、ラップといったストリートカルチャーを、アーティストやダンサーから直接学べる機会を提供していました。

2021年の開催と問題点

2021年、NAMIMONOGATARIは大きな転換期を迎えます。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、8月28日・29日に愛知県国際展示場（AICHI SKY EXPO）多目的広場野外ステージで開催されました。しかし、開催前日の8月27日には愛知県に緊急事態宣言が発令されており、感染対策が十分に講じられないままイベントが強行されたことが問題視されました。

イベント当日、一部出演者はステージ上から観客に注意喚起を行いましたが、他の出演者の中には観客に声出しや歌唱を促したり、モッシュを煽る者もいました。また、会場では酒類の提供も行われており、感染リスクが高まる状況でした。さらに、イベント終了後には名古屋市内のクラブでアフターパーティーも開催され、批判を浴びました。

運営側の対応と虚偽の説明

SNSなどで感染対策の不備が批判されると、運営会社であるoffice keefはウェブサイト上で謝罪文を掲載しました。しかし、その内容は事実と異なる点が多く、更なる批判を招きました。謝罪文では、酒類販売について愛知県から許可を得ていたと説明していましたが、実際には愛知県は販売自粛を要請していました。また、チケット販売についても愛知県の指示に従って販売を終了したと説明しましたが、実際には愛知県はより早い段階で販売停止を求めていました。

愛知県の抗議と対応

愛知県は、運営側の虚偽の説明と感染対策の不備に対して強く抗議しました。大村秀章愛知県知事は、県内の会場を一切使用禁止とする措置（いわゆる出禁）を通告。常滑市長も、市施設での開催を認めないとする抗議文を送付しました。また、愛知県と名古屋市は、イベント参加者向けの無料PCR検査を実施しました。結果、14人の感染者を含むクラスターが発生し、イベント参加者からの感染は6都道府県で計45人にまで広がりました。

国の対応

経済産業省は、会場での感染対策が不十分だったとして、最大3千万円の補助金交付を取り消す方針を決定しました。これにより、NAMIMONOGATARIへの経済的な支援は打ち切られました。

出演者の対応

問題発生後、一部の出演者は謝罪しました。ZeebraとAK-69はTwitterで謝罪文を公開。BAD HOP|BAD_HOPは予定されていた横浜アリーナでのツアーファイナルを延期しました。CIMBA、Awich、CREAM、AKLOの4組は、出演料やグッズの売上金を愛知県の医療従事者支援基金に寄付しました。イベントに出店していた飲食店も同様に基金へ寄付を行いました。

NAMIMONOGATARIの終焉とその後

一連の騒動を受け、NAMIMONOGATARIは実行委員会を解散し、公式サイトやSNSも閉鎖されました。事実上、イベントは終了となりました。しかし、2023年には「ASIAN HIPHOP CONNECTION（AH1）」としてリブランディングを行い再スタートを切りました。

まとめ

NAMIMONOGATARIは、長年愛されたヒップホップフェスでしたが、2021年の開催における運営側の不手際により、その歴史に幕を閉じました。この事件は、イベント開催における感染対策の重要性、自治体との連携の必要性を改めて認識させる出来事となりました。

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