NEC SX-ACE

NECが開発したベクトル型スーパーコンピュータ、SXシリーズの一機種として2013年に登場したSX-ACEは、その高い演算性能と拡張性から、科学技術計算分野を中心に広く利用されました。

SX-ACEは、1GHzで動作するプロセッサを搭載し、コアあたりのピーク演算性能は64GFLOPS、メモリー帯域幅は毎秒64ギガバイトという高いスペックを誇っていました。4つのコアが共有メモリーノードを構成し、64ノードで1ラックを形成、ラックあたりのピーク性能は16TFLOPSに達しました。

NECの公式資料では、64ノードから512ノードまでのシステム構成がラインナップとして示されていましたが、実際にはそれよりも大規模なシステムも構築されています。特に注目すべきは、地球シミュレータ（第3世代システム）への導入事例です。同システムには5120ノードのSX-ACEが採用され、その圧倒的な計算能力は、地球規模の気象シミュレーションなどの高度な計算を可能にしました。これは、SX-ACEの高い拡張性と信頼性を示す重要な事例と言えるでしょう。

SX-ACEは、大規模な並列計算を必要とする科学技術計算や、複雑なシミュレーションに最適化された設計がなされていました。共有メモリーノードの採用により、ノード間のデータ転送が高速化され、計算効率が向上しました。また、拡張性にも優れており、必要に応じてノード数を増やすことで、計算能力を柔軟に拡張することができました。

SX-ACEは、その後継機であるSX-Aurora TSUBASAへとその技術が受け継がれ、日本のスーパーコンピュータ技術の進化に貢献しました。SX-Aurora TSUBASAは、SX-ACEの優れた点を踏襲しつつ、さらなる高性能化と省電力化を実現したモデルとして登場し、現在も最先端の科学技術計算を支えています。SX-ACEは、日本のスーパーコンピュータ技術史において重要な役割を果たしたモデルとして、その功績は高く評価されています。

SX-ACEのシステム構成や性能は、当時の最先端技術を結集したものでした。その高い演算性能と拡張性により、様々な分野で活用され、科学技術の発展に大きく貢献しました。地球シミュレータへの導入事例からも分かるように、SX-ACEは、大規模計算を必要とする高度な課題にも対応できる能力を備えていました。後継機であるSX-Aurora TSUBASAの登場により、SX-ACEは第一線から退きましたが、その技術と経験は、日本のスーパーコンピュータ技術の更なる発展に繋がる礎となりました。

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