NEXTSCOPE

NEXTSCOPE (Banks' Ware) の概要

NEXTSCOPE（Banks' Ware）は、日立製作所がかつて提供していた地方銀行向けの共同アウトソーシングソリューションです。この取り組みは特に、みちのく銀行、山陰合同銀行、肥後銀行の三行間におけるシステムの共同化を目的としていました。その実現のために、日立は独自の方法論を体系化しました。

プロジェクトの始まり

2000年4月12日、日立製作所と三つの地方銀行は、共同で基幹系システムの構築に合意しました。これらの銀行は、以前から日立製ホストコンピュータとミドルウェアを使用しており、加えて1980年代後半には千葉興業銀行と共同で開発した勘定系パッケージソフト「エキスパート」を導入していました。このため、業務手続きが似通っており、情報交換が活発だったことが共同化の背景にあります。

共同システムの運用開始

合同の合意に基づいて、共同システムの構築が始まりました。そして2003年の1月には肥後銀行が先陣を切って運用を開始しました。その後、5月6日には山陰合同銀行が、7月21日にはみちのく銀行がそれに続き、NEXTSCOPE （Banks' Ware）と命名された共同システムの運用を開始しました。

この共同システムは、肥後銀行の勘定系、対外系、情報系などの一部を基に、新たに日立が開発したものです。それぞれの銀行の専用メインフレームやサーバーは、日立が岡山県内に設置したデータセンターに配置され、バックアップセンターは横浜市に設けられました。さらに、日立は三行との間でアウトソーシング契約を締結し、運用サービスを提供していました。

システムの変遷

しかし、2016年11月11日、共同システムの契約期限が到来した際に、山陰合同銀行は顧客ニーズへの柔軟な対応やサービス向上を目的として、NTTデータが運営する地銀共同センターへの参加を発表しました。これにより、合同システムからの離脱意向が示され、2020年1月には新しい地銀共同センターへの移行が行われました。

次のステップ

日立は、残る二つの銀行にはオープン系UNIXサーバを用いた新しい勘定系システム「Banks’ware for Open Platform」を提案しました。肥後銀行は2019年7月に、みちのく銀行は2020年5月にそれぞれ新システムへの移行を完了し、これにより従来のNEXTSCOPEシステムは稼働されなくなりました。

このように、NEXTSCOPEは地方銀行の業務効率化とスピード向上を目指した共同システムの一例であり、技術的な進化とともにその形を変えていく様子が見て取れます。

もう一度検索