NHK上後藤ラジオ中継放送所

NHK上後藤ラジオ放送所

NHK上後藤ラジオ放送所（エヌエイチケイかみごとうラジオほうそうじょ）は、鳥取県米子市に設けられている、NHK鳥取放送局米子中継局のAMラジオ放送を送信するための施設です。かつて米子市に独立したNHKの放送局が存在した時代には、米子放送局の中心的役割を担う親局として機能していました。

所在地と現在の役割

この放送所は、米子市上後藤五丁目3番12号に位置しています。現在、NHK鳥取放送局の米子地域向けAMラジオ放送を担う中継局として運用されており、その電波は鳥取県西部地域を広くカバーしています。かつて、米子放送局が親局だった時代には呼出符号としてJOLZが割り当てられていましたが、これは現在廃止されています。後に、この呼出符号「JOLZ」は、かつて存在したマルチメディア放送サービスi-dioの呼出符号（JOLZ-MM#）として再利用されましたが、このサービスも2020年3月31日をもって停波しています。

かつてのテレビ中継局併設とその背景

NHK上後藤ラジオ放送所の敷地には、1975年から1998年11月末までの期間、NHK総合テレビのアナログ放送用中継局も併設されていました。このテレビ中継局は42チャンネルを使用していました。しかし、米子市周辺は、地形や電波の特性から、島根県松江市にある松江送信所から送出されるNHK総合テレビのアナログ波（6チャンネル）が比較的良好に受信できる地域でした。このため、多くの米子市内の家庭では、アンテナを松江送信所のある方向に向けているケースが一般的でした。特にアナログ放送では、チャンネル設定の手間がかからない6チャンネルを受信する視聴形態が定着していました。結果として、地元の上後藤中継局からの電波は、松江波と比較して受信状況が良好でない場合が多く、その利用は限定的でした。

テレビ中継局の廃止

上後藤のテレビ中継局は、松江市の枕木山に新たな送信施設が整備されたことに伴う移行措置の一環として廃止されました。名目上の廃止時期は1998年11月でしたが、実際に放送が停止されたのは1999年1月でした。これは、地域の受信環境が既に松江波中心となっていた状況を反映した措置と言えます。

新聞表記の変遷

米子地域におけるテレビ受信の特殊な状況は、当時の新聞のテレビ番組欄にも影響を与えていました。一部の新聞では、米子市近郊向けのNHK総合テレビのチャンネルとして、実際には一般的でなかった上後藤中継局の42チャンネルや、鳥取県内の別の地域である日野中継局の2チャンネルが表記される例が見られました。しかし、多くの米子市民は松江からの6チャンネルを視聴していました。特に、日本海新聞や朝日新聞といった主要紙では、1998年11月19日まで、上後藤中継局のチャンネル番号である「米子42」といった表記を使用していたことが確認されています（例: NHK総合テレビ 鳥取3 米子42）。これは、地域の実際の視聴習慣と新聞表記との間に一時的な乖離が存在したことを示しています。

関連施設等

NHK上後藤ラジオ放送所に関連する場所や施設としては、所在地の米子市、管轄であるNHK鳥取放送局、そして米子市内にAMラジオ送信所を持つBSS山陰放送のBSS彦名ラジオ送信所などがあります。また、米子地域のテレビ・FM放送施設全般については、「松江・米子 テレビ・FM放送所」に関する情報も参考になります。

現在もNHK上後藤ラジオ放送所は、鳥取県西部地域におけるNHKのAMラジオ放送を支える重要な施設として機能しています。

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