NHK手話ニュース

NHK手話ニュースとは

『NHK手話ニュース』は、NHK教育テレビジョン（Eテレ）で放送されている、聴覚障害を持つ方々を主な対象としたニュース番組です。正確な情報を、視覚的に理解しやすい手話と字幕で伝えることを目的としています。

番組の歩み

この番組の歴史は、1990年4月にスタートした『きょうのニュース〜聴覚障害者のみなさんへ〜』に遡ります。当初は夜間の放送のみでしたが、1994年4月にはお昼の放送も開始され、聴覚障害者向けのニュース提供体制が拡充されました。1996年4月、これらの番組が統合され、現在のタイトルである『NHK手話ニュース』となりました。さらに、1997年4月には平日夜間の放送が強化され、『手話ニュース845』が誕生しました。

大規模災害時など、緊急性の高い情報が必要な際には、特設ニュースを放送する場合があります。2011年の東日本大震災発生時には初めて特設ニュースが組まれ、以降、台風や大雨などの異常気象、地震、津波注意報発表時などに随時放送されています。ただし、総合テレビのような放送時間の拡大は行われず、定時枠内での対応となります。高校野球中継により放送時間が変更されることはありますが、中継を理由に番組自体が休止されることはありません。また、総合テレビで国会中継が放送されている場合でも、中断して手話ニュースを放送するなど、聴覚障害者への情報保障を優先する体制が取られています。

放送形式と特徴

番組開始当初は、手話通訳士や、自身も聴覚に障害を持つ人など、様々な立場の人が出演していました。1991年に初めてろう者のキャスターとして木村晴美氏が起用されて以降、2000年代初頭からはろうキャスターの登用が進み、現在では主にろうキャスターが日本手話を用いてニュースを伝えています。

ニュース原稿はプロンプターに映し出され、ろうキャスターはそれを見て手話に変換して伝えるサイト・トランレーションという手法で放送が行われています。かつては手話通訳者や画面に映らないアナウンサーが分担してニュースを伝えていましたが、現在はアナウンサーが全てのニュース原稿を担当しています。アナウンサーは主にNHK日本語センターに所属する（または出向している）面々が担当し、NHKを退職したアナウンサーが担当することもあります。

手話だけでなく、ルビ（振り仮名）付きの字幕スーパーも活用されています。これは、手話が苦手な視聴者にも情報が伝わるように配慮したものです。VTR映像が流れている間は、手話の表示は行われません。技術面では、2008年12月からはデジタル放送でのハイビジョン対応が始まりました。

2014年4月には番組ホームページが開設され、平日夜の『手話ニュース845』などのニュース動画が掲載されるようになりました。さらに、2020年3月からはNHKプラスでの同時配信および見逃し配信も開始され、より多くの視聴者がアクセスできるようになりました。子供向けの『こども手話ウイークリー』の動画も掲載されています。

また、Eテレでの定時放送に加え、2023年10月からは総合テレビの日曜夜間ニュース（20:45～21:00）にも、画面左側にワイプで手話通訳を挿入する生放送が始まりました。これは、これまで総合テレビでの手話通訳が難しいとされてきた課題を克服し、ノウハウの蓄積によって実現した画期的な取り組みであり、平日にEテレを視聴している聴覚障害者の視聴習慣に寄り添うことも意図されています。

主な番組構成

平日昼：月曜日から金曜日 13:00 - 13:05に放送。かつては13:30からの放送でした。
平日夜：『NHK手話ニュース845』として月曜日から金曜日 20:45 - 21:00に放送。番組開始当初は19:50からの放送でした。オリンピックなどの特番編成時には、このタイトルで別の時間に放送されることもあります。
週末夜：土曜日・日曜日 19:55 - 20:00に放送。1996年4月からこの時間帯で放送されています。
週間手話ニュース：土曜日 11:40 - 12:00に放送。かつては『聴覚障害者のみなさんへ』などの福祉番組内で放送されていましたが、現在は独立した番組として放送されています。
こども手話ウイークリー：児童・生徒向けのニュース番組です。

これらの番組を通じて、『NHK手話ニュース』は聴覚障害者への重要な情報源としての役割を果たしています。

出演者

各時間帯で複数のろうキャスターや出演者が交代で担当しています。

テーマ音楽

現在のテーマ音楽は小倉昌浩氏が担当しています。

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