NHK手話ニュース845

『NHK手話ニュース845』（エヌエイチケイしゅわニュースはちよんご）は、1997年4月7日に前身である『NHK手話ニュース』から独立する形で放送を開始した、NHKの定時手話ニュース番組です。主に平日夜の主要ニュースを手話で伝えることを目的としています。

放送形式の変遷と特徴

番組開始当初は、聴者の手話通訳者2名体制が基本で、ろう者が occasionally 出演する形式でした。しかし、時代と共に変化し、現在では完全にろう者のキャスター2名で番組が構成されています。この変遷の契機の一つとして、1991年から3年間「みんなの手話」講師を務めた木村晴美氏が、初のろう者キャスターとして採用されたことが挙げられます。当初、木村氏は手指日本語（日本語対応手話）を用いていましたが、彼女の問題意識などを背景に、2000年代に入るとろう者キャスターへの移行が段階的に進み、現在は日本手話での放送が行われています。

ニュース原稿は、プロンプターに表示された日本語文をろう者キャスターが視覚的に捉え、それを手話に変換して表現するサイト・トランレーション方式で進行します。

音声部分については、かつてはNHK日本語センター所属のアナウンサーやOB・OGが担当していましたが、近年はNHK BSニュースの元担当者であるフリーアナウンサーがニュースリーダーを務めることが多くなっています。初期には手話通訳者が担当する場合、挨拶やニュース項目（リード）を手話通訳者が、VTRや気象情報は画面に映らないニュースリーダーが読み上げるという分担体制でしたが、現在では全ての音声ナレーションをニュースリーダーが一手に担っています。また、2011年度からは番組冒頭で主要項目を一覧で示すヘッドライン紹介が導入され、より迅速な情報把握が可能になりました。

視聴者サポートと過去の企画

本番組は手話による情報提供を主軸としながらも、手話に不慣れな聴覚障害者の方々への配慮として、全てのニュースにルビ（ふりがな）付きの日本語字幕スーパーが付加されています。これは通常のニュース番組では担当記者の名前など特殊なケースを除いてルビが基本的に付かないことと異なり、聴覚障害のある方にとってのアクセシビリティを高める重要な要素となっています。

過去には、番組の後半に著名人をゲストに招いたコラムコーナーが設けられていた時期もあり、永六輔氏、金田一春彦氏、戸田奈津子氏といった文化人や専門家が出演し、ニュース以外の視点からの話題を提供していました。

映像技術の進化

映像サイズに関しても変化が見られます。番組開始当初はアナログ放送、デジタル放送ともに標準的な4:3画面サイズでしたが、2008年12月からはデジタル放送においてハイビジョン放送が開始されました。当初はスタジオ映像、天気予報画面、放送センター屋上カメラの映像がハイビジョン化され、ニュース素材は取材映像がハイビジョンであっても4:3サイズのままでしたが、後に取材映像も含めて全面的にハイビジョンでの放送となりました。これは教育テレビで放送される全ての手話ニュース番組に共通する措置です。アナログ放送については、当初4:3のコンバートでしたが、2010年7月5日からは16:9のレターボックス形式で放送されました。

出演者（一例）

番組に出演するキャスターとニュースリーダーは曜日ごとに担当が分かれています。代表的な出演者としては、キャスターに小野広祐氏、木村晴美氏、戸田康之氏、野口岳史氏、那須英彰氏、赤堀仁美氏、竹村祐樹氏、板鼻英二氏、加藤小夜里氏、小野寺善子氏など、ニュースリーダーに谷貝麻知子氏、細谷翠氏、福永美春氏、實石あづさ氏、笠井美穂氏、秋山千鶴氏などが名を連ねています。（出演者は時期により変動します）

放送時間と特別編成

定時の放送時間は平日20時45分から21時00分までです。ただし、祝日が平日に重なる場合は20時45分から20時52分までの短縮版となり、キャスターは1名となります。この際、空いた時間は『ワンポイント手話』やNHKの広報番組『NHKプレマップ』などで補填されます。土曜日・日曜日は『NHK手話ニュース』として19時55分から20時00分に放送され、こちらもキャスターは1名です。また、年末年始（12月31日から1月3日）も20時55分から21時00分までの5分番組となり、キャスターは1名です。

夏季の全国高等学校野球選手権大会の中継が延長された場合には、開始時刻が遅れることがあります。過去には、1999年度から2002年度にかけて、20時台・21時台の番組『今夜もあなたのパートナー』を中断して放送されていた時期もありました。

オリンピックやパラリンピックの開会式など、特別な中継のために通常時間と異なる時間帯で放送される際は、番組タイトルを単に『NHK手話ニュース』に変更して放送される場合があります。また、年末年始の特別編成により、2022年12月下旬や2023年12月下旬のように、通常開始時刻ながらも5分間の短縮放送となり、その後の時間は別番組に充てられるといった例外的な措置が取られることもあります。

テーマ音楽

番組のテーマ音楽は、2011年1月3日から現在に至るまで小倉昌浩氏が手掛けています。

本番組は、聴覚障害のある方々に最新のニュースを分かりやすく届けるという重要な役割を担っており、放送形式や技術、内容を時代に合わせて進化させながら、長年親しまれています。

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