NLOS-LS

NLOS-LS（非直接照準発射システム）について

NLOS-LS（Non-Line-of-Sight Launch System）は、アメリカ合衆国においてレイセオン社が主導となり、2008年から開発が進められた新型ミサイルシステムです。このシステムは、アメリカ陸軍の将来型戦闘システム（FCS）およびアメリカ海軍の沿海域戦闘艦（LCS）計画に導入されることを目的としていました。開発は、レイセオン社とロッキード・マーチン社が共同で設立したNETFIRES社によるものです。

しかしながら、2010年にアメリカ陸軍はNLOS-LSの開発中止を発表しました。開発が途絶えた後も、ロッキード・マーチン社はアメリカ海軍に対して代替案を提案し、将来的な新システムの開発が続けられる可能性があります。

概要

NLOS-LSの開発は、1997年から開始された先進火力支援システムにまで遡ります。このシステムは、発射時の加速を抑えることで、ミサイルとそのキャニスターへの負担を軽減する設計が施されています。構成は発射機と移動司令所、そして発射機に組み込まれたミサイルから成り立っています。発射機のサイズは、縦横1.2m、そして高さは約2mで、重量はおおよそ1.5トンです。内部には、15本のミサイルと1台のコンピュータ/通信ユニットが収められています。条件によっては、地上、船舶、車両からの発射が可能であり、特に地上設置の場合、無線による遠隔操作が可能です。

ミサイルは、発射機内部のキャニスターに1本ずつ収納されており、合計で16本が格納されています。ミサイルの交換作業は比較的簡単で、側面パネルを取り外して、発射されたキャニスターを外し、新しいキャニスターを装填するだけで済みます。バッテリーの交換も必要になるものの、全体的にはメンテナンスが容易に設計されています。

CLU（発射機）

CLU（Container Launch Unit）という名称の発射機は、離れた場所にある移動司令所と無線で情報をやり取りし、ミサイルの状態やバッテリー残量を確認しながら、発射操作を遠隔で行える機能を備えています。発射機は小型で軽量なため、ピックアップトラックでも運搬が可能です。移動司令所から複数のCLUを制御でき、携帯端末を用いて直接制御することもできます。

CLUの主な諸元

• - 内蔵ミサイル数：キャニスター内ミサイル15発
• - 縦横高さ：縦横1.2m程度、高さ2m程度
• - 重量： 約1,428kg（約3,150ポンド）
• - 無線ネットワークによる自動位置検出機能
• - 自律的垂直発射機能

PAM（精密攻撃ミサイル）

NLOS-LSのために特別に開発されたPAMは、発射後にGPSやその他の誘導装置により最大40kmの距離を飛翔します。目標付近では、内蔵の赤外線センサーを用いて目標を探知します。また、双方向の通信機能により、飛行中に目標座標を変更することも可能です。特に、UAVや前線からの情報を受けて移動目標を選択的に破壊することができます。

PAMの主な諸元

• - 重量：53kg（117ポンド）
• - 直径：17.78 cm（7インチ）
• - 導入方式：GPS/INS（慣性誘導）、赤外線追尾
• - データリンク：飛行中の目標変更と画像情報の更新機能
• - 推進機：可変スラスト固体ロケット
• - 射程：40km（25マイル）

LAM（留まる攻撃弾）

当初はLAMもNLOS-LS用に開発されましたが、現在はその契約が打ち切られたため、PAMのみがこのシステムにおけるミサイルとして存在しています。

LAMの主な諸元

• - 重量：53kg（117ポンド）
• - 幅：19.05cm（7.5インチ）
• - 導入方式：GPS/INS、および自動画像認識機能付きのLIDARセンサー
• - 射程：70km＋ロイターの飛行30分（計画では最大射程200km）

計画の進展

このシステムの進化は、様々なテストを経てきました。2002年には初めてのPAM誘導状態での打ち上げ、2007年にはCLUからのPAM発射が成功し、2010年には陸軍が開発中止を正式に発表しました。それまでに多くの技術的進展がありましたが、NLOS-LSは一旦、その実現には至らない結果となったものの、今後の研究にその影響を残しています。

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