NO SIDE

アルバム『NO SIDE』の概要

松任谷由実が1984年に発表した16枚目のオリジナルアルバム『NO SIDE』は、彼女の音楽スタイルを象徴する重要な作品である。このアルバムは12月1日に東芝EMIからリリースされ、アナログレコードとカセットテープとしても提供された。CDバージョンは1985年6月に初めて登場し、その後1999年にはデジタルリマスタリングされた版もリリースされている。

アルバムのタイトル「NO SIDE」は、ラグビーにおける試合終了を意味する用語であり、これまでの松任谷由実の作品とは異なる深いテーマが込められている。この作品は『YUMING BLOOD』ツアーの際に発表され、1985年には第27回日本レコード大賞で優秀アルバム賞を受賞した。

アートワークは信藤三雄によって手がけられ、ユーミンの独自のブランドイメージを強調するビジュアルが特徴的だ。特にユーミンマークは、彼女のイメージを象徴するシンボルとして、このアルバムで前面に押し出されている。

アルバム収録曲

このアルバムには、多彩な楽曲が収められており、その一つ一つが独自のストーリーを持っている。

1. SALAAM MOUSSON SALAAM AFRIQUE

アフリカを舞台にしたこの曲は、「箱舟」や「砂漠」、「海流」などが詩の中で描かれ、幻想的な旅を感じさせる楽曲として広く認識されている。

2. ノーサイド

タイトル曲である「ノーサイド」は、ラグビーの試合が終了した後の感情を表現したもので、1985年には富士フイルムのCMソングとしても起用された。元々は他のアーティストに提供した楽曲をユーミン自身が再度歌い直したもので、その感情の深さが評価されている。

3. DOWNTOWN BOY

ビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」に対するアンサーソングであり、富裕層の女性が描く視点で語られるこの曲は、多様なCMに起用されるほどの人気を誇る。

4. BLIZZARD

冬にぴったりなスキーをテーマにした名曲で、映画『私をスキーに連れてって』の劇中歌としても知られる。この曲は冬の風情を見事に表現している。

5. 一緒に暮らそう

プロポーズソングとして知られるこの楽曲は、忙しい年末を背景にしながらも深い愛情を描いた内容になっている。

6. 破れた恋の繕なおし方教えます

黒魔術がテーマになっており、昔の恋人と再びやり直そうとする女性の葛藤をユーモラスに描いている。

7. 午前4時の電話

別れた恋人からの突然の電話をテーマにした、切ない恋愛の様子を歌った曲。

8. 木枯らしのダイアリー

失恋を日記として振り返る、感情豊かな楽曲だ。

9. SHANGRILAをめざせ

将来的な夢や理想の世界を求める内容で、後のライブイベント「ユーミンスペクタクル・シャングリラ」のテーマソングともなった。

10. 〜ノーサイド・夏〜空耳のホイッスル

再びCMソングに起用されたこの曲は、青春の美しさと儚さを表現した楽曲として知られている。

参加ミュージシャン

このアルバムには多くの優れたミュージシャンが参加しており、豪華な編成で制作された。キーボードには松任谷正隆、ドラムには林立夫、ベースに高水健司など、各楽器による確かな演奏が作品を支えている。特にコーラスには松任谷由実自身をはじめ、多くのアーティストが参加し、声の重なりが美しいハーモニーを生み出している。

『NO SIDE』は、松任谷由実の音楽的成長と挑戦を示す作品として、今もなお多くのファンに愛され続けている。音楽そのものが持つ深い魅力を感じることができる、記念すべきアルバムである。

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