高水健司

高水健司：日本の音楽シーンを支える名ベーシスト

高水健司（たかみず けんじ、1951年3月29日 - ）は、日本の音楽シーンを代表するベーシスト、作曲家です。そのキャリアは多岐にわたり、数多くのミュージシャンやアイドルのレコーディング、コンサートに参加し、日本のポップス界に多大な貢献をしてきました。その人柄から、ミュージシャン仲間からは「大仏」または「大仏さん」という愛称で親しまれています。

人物と音楽性

兵庫県神戸市に生まれた高水健司は、高校時代から楽器に触れ始め、19歳でバンド活動を開始。ライブハウスやスナックなどを中心に演奏活動を行いました。1973年には、五輪真弓の初ライブの収録に参加したことをきっかけに、その才能が開花。稲垣潤一、井上陽水、郷ひろみ、CHAGE&ASKA、沢田研二、中島みゆき、松田聖子、松任谷由実、八神純子、福山雅治、布袋寅泰など、日本の音楽史を彩るアーティストたちの作品に携わるようになりました。

高水健司は、特にチャック・レイニーを敬愛しており、2016年には音楽雑誌「ベース・マガジン」の企画で対談が実現。愛用する楽器は、自身で改造したミュージックマン・スティングレイやフェンダー・プレシジョンベースで、エレクトリックベースだけでなく、ウッドベースも自在に操ります。そのプレイスタイルは、日本のポップスの名曲に欠かせない存在として高く評価されています。

来歴

1973年、サックス奏者の古谷充と共に、関西地区で放送されたバラエティ番組『ヤングおー!おー!』にバンドメンバーとして出演。同時期に、大阪の放送局で制作された番組の音楽やCM曲の制作にも携わりました。同年、大村憲司や村上"ポンタ"秀一らのグループ"エントランス"にベーシストとして加入し、10月には上京。渋谷ジァン・ジァンで行われた五輪真弓の初ライブの収録に参加し、その音源は翌1974年に発売された五輪のライブ・アルバム『冬ざれた街』に収録されました。

1974年からは、ジャズ・ピアニスト市川秀男のトリオに加入し、フリーのスタジオ・ミュージシャンとしての活動を本格化させます。東京都内のライブハウスにも数多く出演し、吉田美奈子のアルバムレコーディングにも参加しました。1976年には、乾裕樹、松木恒秀、矢島賢といったミュージシャン達と"ザ・グルービーズ"名義でアルバム『ソウルフル・ディスコ・サウンド』をリリース。1977年には、松任谷由実のアルバム『紅雀』のレコーディングに参加し、その後長きにわたり松任谷の作品制作に携わることとなります。

1979年、佐藤允彦、清水靖晃、山木秀夫、穴井忠臣らと"佐藤允彦 & メディカル・シュガー・バンク"を結成し、2枚のアルバムをリリース。1980年には、富樫雅彦、佐藤允彦とのトリオでアルバム『The Ballad: My Faborite』をリリース。1981年には、渡辺香津美率いるフュージョン・バンド"KAZUMI BAND"に参加し、1982年には渡辺貞夫グループのツアーに参加。1983年には、石川晶 & カウント・バッファローに参加し、アルバム『ルパン三世 JAM TRIP』をリリースしました。

1986年、かまやつひろし、今剛、難波正司、島村英二らと"ワン・ナイト・スタンド・ブラザーズ"を結成し、サンフランシスコでレコーディングを行ったアルバム『One Night Stand Brothers』をリリース。1989年、吉川忠英を中心に浜口茂外也、渡辺雅二らと結成したバンド"R.E.M.SWIMMINGCLUBBAND & Suzuki"のメンバーとして活躍。2000年には、"大人が作る大人の為の音楽"をコンセプトに結成されたユニット"nanan"のメンバーとなり、これまでに3枚のアルバムをリリース。2000年から2001年にかけては、井上陽水のコンサートツアーに参加しました。

2004年には、笹路正徳プロデュースによるJAZZレーベル"K's TRACKS"よりリリースされたアルバム『Battery's not included』のレコーディングに参加。2011年には、井上鑑、山木秀夫、高水、今剛の4人からなる"井山大今"のメンバーとして活動を開始。ユニット名は4人の名前から一文字ずつ取ったもので、"大"は高水の愛称"大仏さん"に由来しています。2015年には、松本隆の作詞活動45周年記念イベントのために集結した"風街ばんど"のメンバーに加わり、近年では福山雅治のライブツアーに参加するなど、現在も精力的に活動を続けています。

その他の活動

高水健司は、寺尾聰や井上鑑、吉川忠英のアルバム収録曲で楽曲提供も行っています。音楽雑誌「BASS MAGAZINE」では、"大仏さんの日本歌謡30年史回顧録"と題したコラムを連載。東京都内の楽器店を中心に、"スペシャル・ベース・クリニック"と称されたイベントの講師を務めるなど、幅広く活動しています。また、ベーシスト用イヤーモニターの開発にも携わるなど、その活動は多岐にわたります。

高水健司は、日本の音楽シーンに欠かせない存在として、これからもその才能を発揮し続けるでしょう。

もう一度検索