NUON

NUON（ヌオン）: DVDゲームプレイヤーの革新

背景と誕生のストーリー

NUONは、1998年にアメリカのVm labs社によって提唱された新しい規格で、主にAV機器としてDVD視聴を楽しむユーザー層に向けてゲーム機能を加えた製品です。これにより、家庭におけるエンターテインメントの選択肢が広がることを目的としました。2000年にはラスベガスで開催されたCESにおいて、初めて実機がお披露目され、その後市販されることとなりました。

特徴と技術

NUONの特筆すべき点は、製造やソフトウェアの開発を行わないという方針をとったことです。規格提唱者であるVm labs社は、韓国と日本の大手電機メーカーである東芝とサムスンと提携し、NUON規格に対応したデバイスを市場に投入しました。これには、次のモデルが含まれます：

• - N2000 (サムスン): このモデルは499ドルで販売され、NUON規格のDVDプレイヤーの第一号機としてデモディスクとコントローラーが搭載されていました。
• - N501 (サムスン): MP3対応ですが、コントローラーは別売でデモディスクも付属していませんでした。
• - SD-2300 (東芝): このモデルは、外観が通常のDVDプレイヤーと変わらなかったため、一般の消費者にはあまり目立たなかった。

NUONのゲームコントローラーは、Nintendo 64に似たレイアウトで方向キーやいくつかのボタンが配置されています。

市場展開と競争

Vm labs社は、NUON規格をへの参加を日本を含む複数の企業に呼びかけましたが、家庭用ゲーム機市場では当時大ヒットを記録していたPlayStationに押されて思うように販売が進みませんでした。日本のゲームメーカーでは、タイトーやサンソフトが対応したものの、やはりサードパーティーに人気が集まることはありませんでした。

また、NUONは業界初のDVDゲームプレイヤーとして、DVD再生機能が強く前面に出ており、それがゲーム機としての魅力を減少させる要因となりました。この他にも、発売からしばらく早くにPlayStation 2が登場し、商業的な競争がさらに厳しくなりました。日本での正式な販売もなかったため、NUONは主にAVプレーヤーとしての性格が強く、リージョンコードの影響もあって輸入されることがほとんどありませんでした。

失敗とその影響

市場のニーズと合わず、NUON規格のソフトウェアはわずか40本余りしか開発されず、その多くがアーケードゲームの移植やパズルゲーム、レース、シューティングゲームにとどまりました。一方で、RPGや対戦格闘ゲームなどの人気ジャンルには足りない点が多く、全体の魅力を欠く要因となりました。NUONのファン層は一部のアタリファンに限られ、特に「テンペスト3000」など過去のアーケード名作のリメイクを楽しむかたが多かったのです。

結果として、NUONは発表からわずか3年後にVm labs社が倒産する一因となり、その後はシンプルに消費者の記憶から薄れていきました。これは新しい技術への挑戦がどれほどリスキーなものであるかを物語る事例の一つと言えるでしょう。

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