リージョンコード

リージョンコード：地域制限の仕組みと現状

リージョンコードとは、DVD、Blu-ray Disc、ゲームソフトなどのメディアが販売・利用できる地域を指定するコードです。このコードがメディアと再生機器で一致しないと再生できないようアクセス制御されていることが多く、地域ごとの販売戦略や著作権保護に用いられています。特にゲーム業界では「リージョンロック」と呼ばれ、親しまれています。

DVD-Videoにおけるリージョンコード

DVD-Video規格では、映画業界の要望によりリージョンコードが導入されました。これは、ハリウッド映画が世界中で上映される際、公開時期のずれによる海賊版や輸入版DVDの流入を防ぐ狙いがありました。例えば、北米で先に発売されたDVDが日本市場に流入することで、日本の興行収入が減ることを防ぐ効果が期待されました。

しかし、北米版DVDには日本語字幕や吹き替えが収録されていないことがほとんどです。そのため、一般映画においては輸入版の需要は高くありません。一方、音楽やアダルト作品では、輸入版の方が安価な場合や日本未発売の作品が存在することから、輸入版の需要が高く、リージョン制限は消費者の利便性を損ねる要因となっています。

リージョンフリーのDVDプレーヤーも存在し、全てのリージョンのDVDを再生できます。また、PC用DVD再生ソフトウェアでは、多くの場合、リージョンロックを無視して再生できるため、DVDプレーヤーでのリージョン制限の重要性は低下しています。

リージョンコードは、通常異なるリージョンのDVDを再生しようとすると、ハードウェアレベルでエラーが表示されるようになっていますが、一部のプレーヤーでは再生できてしまうケースもあります。その場合、DVDごとにエラー画面が表示されます。2023年現在、ほとんどのPC用DVDプレイヤーソフトはリージョンを無視して再生するため、リージョンロックの需要は薄れています。

リージョンコード一覧と特殊事例

ヨーロッパではリージョン2に加え、サブコード（D1～D4）が存在します。また、1枚のDVDに複数のリージョンコードを付加することも可能です。「リージョンオール」は、リージョン1～8全てのコードが付いたDVDです。日本とヨーロッパは同じリージョン2ですが、映像規格が異なるため、再生できない場合があります。CSSを解除するソフトウェアを用いれば、リージョンコードを無視してDVDを複製することもできます。

DVDプレーヤーとリージョンコード

DVDプレーヤーにもリージョンコードがあり、メディアとプレーヤーのコードが一致しないと再生できません。リージョン0のプレーヤーは全てのリージョンに対応しますが、メディア側にはRCE（Regional Coding Enhancement）という制御技術があり、リージョン0プレーヤーでは再生できないようにする対策が施されています。

法的側面

オーストラリア公正取引委員会(ACCC)やニュージーランド政府は、リージョン制限のあるDVDプレーヤーについて、取引慣行法違反の可能性を警告しています。

リージョンコードの変更

PCでDVD、Blu-ray Discを再生する場合、Windows 10ではドライブのプロパティからリージョンコードを変更できます。しかし、変更回数は限られており、変更には該当リージョンのディスクが必要となります。近年はソフトウェアでリージョンフリー化できるため、ドライブ側の変更は意味をなさなくなっています。

Blu-ray Disc

Blu-ray DiscとBlu-ray 3Dでもリージョンコードが採用されています。地域分類はDVDと異なり、日本は米国と同じ地域に分類されました。そのため、輸入版の利用はDVDより容易になりました。しかし、リージョンと再生言語は別物であり、日本リージョンのプレイヤーで言語設定を海外に変更すると、メニューなどが変わる場合があります。ECサイトの発達により、外国版の輸入は容易になり、北米版アニメBDでは、日本設定のプレイヤーでは再生不可能になるものもあります。

その他のメディア

D-VHS、UMD VIDEOにもリージョンコードが存在しますが、HD DVDとUltra HD Blu-rayには存在しません。

テレビゲームにおけるリージョンコード

ゲーム機でも地域別再生制限があります。カートリッジ式ゲーム機では、物理的な形状の違いでリージョン制限を行う例もありましたが、光ディスクの採用後はソフトウェアでリージョンを設定することが一般的です。

ゲーム機本体とソフトのリージョンが一致しないと起動しません。本体改造によるリージョン突破はメーカー保証が無効となります。リージョンフリーのゲーム機でも、DVD、Blu-ray Disc、Blu-ray 3Dに対応する場合は、リージョンコードが組み込まれています。ディスクドライブの制御基板にもリージョン情報が書き込まれており、ドライブの交換は容易ではありません。

リージョン制限がないゲーム機やソフトも存在します。しかし、言語設定の違いにより不都合が生じる場合があります。また、オンラインサービスの利用には、地域制限が適用される場合があり、ゲームの購入やアップデートに制限がかかります。

PS2、PS3、Xbox 360などでは、下位互換機能を使ってもリージョンロックが適用される場合があります。PS4、PS5では、リージョンロックは事実上廃止されています。任天堂機ではリージョンロックは存在しましたが、パッケージには記載されていませんでした。

リージョンコードは、メディアの販売戦略や著作権保護に役立つ一方で、消費者の利便性を損ねる側面もあります。技術的な回避策や法的議論なども含め、今後もそのあり方が問われ続けるでしょう。

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