Nash Music Library

ナッシュミュージックライブラリー（Nash Music Library）は、株式会社ナッシュスタジオが手掛ける音響素材の提供サービスです。特定の条件下で使用料が発生しない、いわゆる著作権ロイヤリティフリーの形式で、多岐にわたるサウンド素材を提供しており、「FREE USE MUSIC (フリーユースミュージック)」という別称でも知られています。

このサービスは1983年、当時の代表であった梨木良成氏によって創業されました。創業当初より、利用にあたって別途使用料が発生しないロイヤリティフリーの使用許諾システムを独自に構築。素材の制作から供給、管理までを一貫してナッシュスタジオが自社で行う体制を確立しています。

提供される素材は、コンテンツ制作の現場で求められる様々なニーズに応えるため、幅広いジャンルのBGMや効果音を取り揃えています。テレビ番組、ラジオ放送、CM、ゲーム、動画コンテンツなど、多様なメディアでの業務利用を主な想定としており、それぞれのシーンやテーマに合致するサウンドを見つけることができます。素材はかつて業務用CDとしても提供されていましたが、現在はウェブサイトを通じたダウンロード販売が中心となっています。

ウェブサイトでは、一般的な音楽ジャンルに基づく検索に加え、業務での使用シーンや用途に応じた独自のカテゴリーからも素材を探すことが可能です。これにより、目的のサウンドに素早くアクセスできる利便性を提供しています。サービスを象徴するキャッチコピーは「選ぶ創造・溢れるイメージ」です。

ナッシュミュージックライブラリーの素材は、その比較的抑えられた利用料金と、厳格すぎないライセンス条件から、多くのプロフェッショナルに支持されています。テレビやラジオ番組はもちろん、数多くの映像作品、さらには店舗BGMなど、幅広い分野で広く活用されています。

近年の展開として、2018年には店舗オーナーやライブ配信者といったより広範な一般ユーザー層に向けた月額制ストリーミングサービス「ナッシュ音楽チャンネル」を開始しました。さらに、2020年6月からは個人が試聴を楽しむ目的であれば、Spotifyを通じて楽曲を聴くことが可能になりました（ただし、こちらは商用利用はできません）。また、2024年2月には、動画プラットフォーム「ニコニコ」を運営するドワンゴとの間で、音楽著作権と楽曲原盤に関する包括的な使用許諾契約が結ばれました。これにより、ニコニコへの投稿作品において、ガイドラインの範囲内であればナッシュスタジオへの個別の許諾なく楽曲原盤を使用できるようになり、ニコニ・コモンズ経由での楽曲原盤ダウンロードも可能になるなど、利用の場がさらに拡大しています。

このように、ナッシュミュージックライブラリーは、創業以来一貫してロイヤリティフリーという形態を守りながら、時代の変化に合わせて提供形態や利用範囲を広げてきました。プロの現場から個人のクリエイターまで、多くの人々にとって、質の高いサウンド素材を手軽に利用できる貴重なリソースとなっています。

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