Nashorn

Nashorn (ナッシュホルン) とは

Nashornは、オラクルがJavaプラットフォーム上で開発したJavaScriptエンジンです。Java 8で導入され、Javaアプリケーション内でのJavaScript実行を効率化することを目指していました。プロジェクトの名称は、ドイツ語でサイを意味し、既存のJavaScriptエンジンであるRhino（リノ）との関連性を示唆する洒落となっています。

歴史と経緯

Nashornプロジェクトは、2011年7月のJVM言語サミットで初めて公表され、その後JavaOneでも発表されました。2012年11月には、オラクルによってOpenJDK リポジトリにてソースコードがオープンソース化され、開発者コミュニティに公開されました。

主な目的は、JSR-223を通じてJavaアプリケーションにJavaScriptを組み込むこと、そしてスタンドアロンなJavaScriptアプリケーションを開発できるようにすることでした。ECMAScript 5.1の仕様に100%準拠しており、最新のJavaScript機能をサポートしていました。

技術的な特徴

Nashornは、Da Vinci Machine（JSR 292）に基づいて構築されており、Java VMの動的な特性を活用することで、高いパフォーマンスを実現していました。オラクルのベンチマークによると、競合するJavaScriptエンジンであるRhinoと比較して、数倍の速度向上が見られました。

非推奨と代替

Java 11のリリースに伴い、Nashornは非推奨となり、JDK 15からは完全に削除されました。これは、より高性能でモダンなJavaScriptエンジンであるGraalVMプロジェクトのGraalJSが代替として推奨されているためです。

Nashornの終焉と今後

Nashornの削除は、JavaプラットフォームにおけるJavaScript実行環境の変化を意味します。GraalJSの登場により、開発者はより柔軟で効率的なJavaScript統合が可能になりました。Nashornは過去の技術となりましたが、JavaとJavaScriptの連携における重要なステップとして記憶されるでしょう。