NatureServe

NatureServe（ネイチャーサーブ）

NatureServe, Inc.（ネイチャーサーブ）は、アメリカ合衆国バージニア州アーリントンに本部を置く、自然環境の保全を目的とする非営利の市民団体です。生物多様性に関する科学的データと分析に基づき、保全活動を支援するための情報、ツール、サービスを政府機関、研究者、非営利団体、一般市民など、幅広いステークホルダーに提供しています。

沿革

NatureServeのルーツは、1970年代にザ・ネイチャー・コンサーバンシー（TNC）が開始した自然遺産プログラムにあります。これは、各州内の貴重な自然地域や生物種を特定・記録する試みでした。このプログラムは米国内で急速に拡大し、カナダやラテンアメリカにも展開され、南北アメリカ大陸にわたる広範なネットワークが構築されました。1990年代初頭には、このネットワークで蓄積された地域データを統合し活用する機運が高まりました。これを受け、1994年にネットワークを調整し、情報製品・サービス開発を担う独立した非営利組織として「Association for Biodiversity Information（ABI）」が設立されました。ABIはTNCの自然遺産ネットワークの機能や資産を引き継ぎ、データベース、人材、科学的手法を継承しました。1999年に団体名をNatureServeに変更する申請を行い、2001年に正式に非営利団体としての承認を得ました。設立年は、ABI設立の1994年を基点としていますが、組織改編のあった1999年とされる場合もあります。

事業内容

NatureServeは、主に以下の分野で活動を展開しています。

生物多様性データの収集と管理: 生物種や生態系の分布、状態に関するデータを標準化された手法で収集・記録・維持します。
科学的分析と評価: 収集データに基づき、保全の優先度やリスクを評価するための分析を行います。
保全ツールの開発と提供: 保全計画や土地管理を支援する意思決定ツールやオンラインシステムを開発・提供します。
ネットワークの運営支援: 自然遺産プログラムなどの協力組織からなるネットワークを支援し、情報共有と能力向上を図ります。

主要な成果物として、アメリカおよびカナダの生物に関する詳細な情報を公開するオンラインデータベース「NatureServe Explorer」があります。これはNatureServe独自の保全状態格付け（NatureServe conservation status）を提供し、北米の絶滅危惧種評価に貢献しています。ラテンアメリカを対象とする同等のサービスは「Infonatura」として提供されています。

また、アメリカ政府の委託を受け、米国植生分類標準や国際生態コミュニティ分類といった標準的な分類体系の管理を担っています。国際自然保護連合（IUCN）のレッドリスト作成においては、生物種の評価やデータ提供で協力しています。ナショナルジオグラフィック協会との共同事業「LandScope America」では、保全関連データを集約したオンラインリソースを提供し、土地・水資源管理計画を支援しています。

組織と財政

NatureServeは、バージニア州アーリントンの本部のほか、アメリカとカナダに複数の拠点を有しています。2011年時点では、従業員約90名、ボランティア約6名、役員約15名で構成されていました。

財政基盤は多岐にわたり、主に連邦政府からの受託事業費、および財団や個人からの寄付によって支えられています。2011年度には、約949万ドルの収入に対し、約891万ドルの支出がありました。

まとめ

NatureServeは、科学的根拠に基づいたデータと情報サービスを通じて、効果的な生物多様性保全の推進に貢献しています。

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