Neko (ソフトウェア)

Neko（ねこ）は、コンピュータのマウスカーソルを追いかける猫を画面上に表示する、愛らしいデスクトップアクセサリーです。その歴史は古く、様々なプラットフォームで多くの人々に親しまれてきました。

Nekoの誕生と進化

Nekoの原点は、PC-9801シリーズ用の常駐プログラムとして、naoshi（若田部直）氏によって作成されました。初期のNekoは、マウスカーソルではなくテキストカーソルを追いかけるもので、現在のイメージとは異なるものでした。その後、68k Macintosh（Mac OS (旧)）向けに後藤寿庵氏がデスクアクセサリ版のnekoDAを開発しました。このnekoDA版で、現在のNekoのイメージに近い猫のグラフィックが初めて登場しました。技術的な制約から、猫の行動範囲はウィンドウ内に限定されましたが、ウィンドウの端で爪を研いだり、マウスカーソルが鳥や魚のアイコンに変化したり、一定時間動かないと眠ってしまうなど、愛らしい動作が数多く盛り込まれました。このnekoDAは、ウィザードリィの開発者であるロバート・ウッドヘッドに「Cute!」と絶賛されたというエピソードも残っています。また、IBMが後藤氏に非独占的使用権を求めたという話もあります。

1990年には、古場正行氏によってX Window Systemクライアント版のxnekoが開発されました。さらに、同年には加藤氏がxnekoをベースに、猫の移動範囲を画面全体に広げたonekoを開発しました。onekoでは、画面端で爪を研ぐ動作が追加されたり、biff互換のメール着信通知機能やPOPを用いたメール着信通知に対応するなど、機能が拡張されました。これらの命名は、X Window Systemにおける慣習に倣ったものです。1992年には、飽谷竜一（みゃいぬみ）氏によってFM TOWNS版も登場しています。

Windows版のNeko for Windowsは、David Harvey氏によって開発されました。onekoと同様に猫の移動範囲は画面全体となり、マウスカーソルから逃げる、ウィンドウの周囲を周回する、ランダムに移動するなど、多彩な動作を選択できるようになりました。さらに、猫の足跡を残す機能も実装されています。BeOS向けには、Neko the Replicatという名前のものが公開されています。

これらのプログラムで使われている猫の画像は、ほぼ全てがnekoDA作者である後藤氏によって作成されたものです。後藤氏は、これらの画像の利用について「絵の使用に関しては完全にフリーである。フリーウエア作家が使用することは制限しない。」と述べており、その寛大な姿勢がNekoの普及に大きく貢献しました。

派生作品

Nekoの愛らしいコンセプトは、数多くの派生作品を生み出しました。

oneko-sakura: onekoをベースに、猫の衣装を着た木之本桜がマウスカーソルを追いかけるように改変されたものです。人気キャラクターとのコラボレーションが魅力です。
チューチューマウス: 猫ではなく、ネズミがマウスカーソルを追いかけるという、面白い発想の派生作品です。

Nekoは、そのシンプルな機能と愛らしい動きから、多くの人々に愛されてきました。技術の進歩と共に、さまざまなプラットフォームに移植され、今もなお、その可愛らしさは多くの人々の心を癒しています。

外部リンク

oneko & POPメール着信通知機能パッチ - X版
Neko for Windows - ウェイバックマシン（1999年10月12日アーカイブ分） - Windows版
Neko the Replicat - BeOS版
oneko-sakura - X版の派生作品 猫衣装の木之本 桜仕様

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