NetBEUI

NetBEUI（NetBIOS Extended User Interface）は、NetBIOSを拡張したプロトコルであり、主にローカルエリアネットワーク（LAN）環境で使用されていました。NetBIOSは、ネットワークAPIの一種であり、その拡張としてNetBEUIが開発されました。

NetBEUIの歴史と概要

NetBIOSは、Systek社によってIBM PC用のネットワークのために開発されました。その名称は「BIOS呼び出しの仕組みを利用したネットワークAPI」に由来します。その後、米IBM社と米マイクロソフト社によって1985年に拡張され、「PC LAN Program」と「MS-NET」で使用されるようになりました。1987年には、マイクロソフトとノベル社がそれぞれLAN ManagerとNetWareのためにさらに拡張しました。

当初、NetBIOSという名称はプロトコルとAPIの両方を指していましたが、その後、プロトコルをNetBEUI、APIをNetBIOSと区別して呼ぶようになりました。ただし、NetBEUIは「拡張NetBIOS」という名前が示すように、本来はAPIの拡張です。プロトコルを指す場合は、正確にはNBF（NetBEUI Frame Protocol）と呼ぶべきです。実際、Windowsに実装されたNetBEUIプロトコルドライバのファイル名はNBF.SYSであり、レジストリキーもNBFとなっています。

NetBEUIの技術的特徴

NetBEUIは、主に小規模なLAN環境で使用されることを前提として設計されています。その理由の一つとして、マルチキャストを多用することが挙げられます。また、ルーティング機能が実装されていないため、大規模なネットワークには適していません。しかし、セキュリティ上の観点から、TCP/IPを使用せずにNetBEUIを使用するケースも存在しました。

NetBEUIの終焉

インターネットの普及とともに、TCP/IP（特にNetBIOS over TCP/IP、NBT）が主流となり、NetBEUIは徐々に使われなくなりました。Windows XPでは、NetBEUIは標準のビルトイン・プロトコルから外れ、付属のCDからインストールする必要がありました。Windows XPおよびWindows Vistaでは、NetBIOS名前解決（NBNS）を使ってコンピュータ名をネットワーク上に登録・取得する程度となり、NetBEUIのみでネットワークを構築することは現実的ではなくなりました。その結果、Windows 7からはNetBEUI自体が廃止されました。

NetBEUIの利用環境

NetBEUIは、主に以下の環境で使用されていました。

LAN Manager
LAN Server
Windows for Workgroups（Windows 3.x系）
Windows 9x系
Microsoft Windows XP
Microsoft Windows VistaまでのWindows NT系

これらの環境では、NetBEUIはネットワーク通信の基盤として利用されていました。しかし、TCP/IPの普及に伴い、その役割を終えました。

NetBEUIの代替

現在では、NetBEUIのほとんどの機能はTCP/IP（NBT）によって置き換えられています。TCP/IPは、より大規模で柔軟なネットワーク環境に対応できるため、現代のネットワークインフラの基盤となっています。

関連事項

NetBEUIに関連する技術として、以下のものがあります。

IPX/SPX|IPX_SPX: Novell NetWareで使われていたプロトコル。
Server Message Block (SMB): Windowsネットワークでファイル共有などに使われるプロトコル。
* Common Internet File System (CIFS): SMBの拡張版。

これらの技術は、NetBEUIと同様に、ローカルネットワーク環境でのファイル共有やプリンタ共有などに使用されていました。

まとめ

NetBEUIは、かつて小規模なLAN環境で広く利用されていたプロトコルでしたが、TCP/IPの普及によりその役割を終えました。その歴史や技術的な側面を理解することは、ネットワーク技術の進化を理解する上で重要です。

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